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SPAC(特別買収目的会社)が日本で承認されていない背景とメリットとデメリットについて

特別買収目的会社(SPAC)がいい意味でもわるい意味

でも注目されています。調査会社SPACリサーチによると、

SPACの上場による第1・四半期の調達額は834億ドルと

既に昨年全体を上回り、従来型の新規株式公開(IPO)の

ほぼ3倍に達しています。

そのように、SPACについては、過熱しすぎているとのn

報道も最近よくみるなか、改めてSPACのメリット、デメリット

について調べてみたいと思います。

SPACのしくみについて

まず設立者が自己資金を投じてSPACを立ち上げます。

その設立者は、多くの場合著名の経営者や投資家が

設立者となるケースが多いようです。

そして次にSPACを上場させます。

この際に株式を売り出し、設立者の知名度や信用度を武器に

投資家から資金を集めます。

その投資家から得た資金を元にベンチャー企業などを買収

買収された企業とSPACを合併して被買収企業を

存続会社とすることで上場会社とするしくみです。

24か月の買収期間が設けられており、この期間内に

買収が実施されなければ、投じた資金は、投資家に

返還されることになります。

SPACという仕組み自体は1980年代からありました。

しかしその当時不正やトラブルが多かったため、

それほど使われていませんでした。

昨今、ルールが厳しくなったことや新型コロナの影響による

金融緩和での金余りで再び注目されるようになり、現在では

ロビンフッドを通しての取引が活発化しており、個人投資家

の小口の投資資金がSPACに集中していることについて

懸念も生じています。

日本でSPACが承認されていない背景

なお、今のところ日本ではSPACは認められていません。

しかし、ソフトバンクグループがSPACをアメリカのナスダック市場に

上場させるなど活用する企業がでてきているのも事実です。。

日本企業を買収ターゲットとするSPACが間もなくアメリカで上場されます。

「Evoアクイジション」という会社で、IPOにより1億ドル(105億円)の

資金調達を行い、これを原資に日本の有望なスタートアップ企業を

買収することが見込まれています。そして、このEvo社の社外取締役には

千葉ロッテマリーンズの元監督のボビー・バレンタイン氏が就任する

見込みであることも話題を呼んでいます。このように、日本ではSPAC

は承認されていない中、日本の有名起業家となりえるひとたちが

アメリカの上場しているSPACを利用して、上場する機運が徐々に

高まっていることも事実です。

やはり、日本でまだ承認されない背景として、日本では、投資家を守る

というのが大前提となっているからだと思われます。

SPCを用いたM&Aスキームも併せて説明しました。

これは、プライベート・エクイティファンド(PEファンド)が多用している

スキームですが、こちらも「空箱」であるSPC(特別目的会社)が買収ターゲット企業

をM&Aで買収し、最終的には両者は合併して買収ターゲット企業が存続会社になります。

こちらもおさらいになりますが、「空箱」のまま上場するかどうかという点を除

けば両者の取引スキームはほぼ一緒です。

SPACの問題点は、1980年代から存在しており、当時は設立者が資金を

私的流用したり、自分が出資している会社を買収したりするなど、

抜け穴が多く、不正が横行していた経緯があります。

1990年代以降はその反省からルールを厳格化し、資金の9割を信託し、

買収が進まない場合は投資家に返還するなど、投資家保護も進んでいる

一方で、買収先の企業の開示について問題も起きています。

買収期間が24カ月以内と決められているため、買収先企業から

足元を見られて買収価格を釣りあげられる危険もあり、また通常の

IPOより審査が緩いために簿外粉飾を見抜けなかったり、経営状態を

見誤る可能性がある、との懸念もでています。

このような背景から、SPACのしくみは日本では向いていないという

意見がちらほら出ているのも事実です。

SPACのメリットは

設立のメリットは優良企業をスムーズに買収できるなど上場までのスピード面が

魅力です。買収される企業としても資金や時間を大幅に削減でき、従来の

IPOに比べて上場までの期間が短く、上場審査も簡素になります。

投資家目線では少額の資金で未公開株式取引に参加できる点が魅力です。

未公開企業への投資は、株式投資型クラウドファンディング

などいくつか手段もありますが、SPACでの投資先は買収後すでに

上場企業となっているので、株式の途中売却ができることが

大きな違いです。そこがこのしくみの大きな魅力となっています。

何と言っても投資回収が比較的短期間で行えてしまうというところが

メリットです。そもそも買収ターゲット企業がまだ決まっていない

段階でSPACという「空箱」のまま上場させる訳なので、

各国の上場審査が通ってIPOさえできてしまえば、株式売却によって

容易に出口も見通し安いところがメリットです。

PEファンドがこのSPCスキームに基づいてM&Aを行った後、彼らはどのようにして

エグジットするかというと、合併後の企業に対する株式をまた別の会社や

PEファンド等に売却するか、IPOを目指すかのいずれかになります。

いずれを選択するにしても、投資先である買収ターゲット企業(SPCとの合併後企業)

の企業価値を上げなければ高値でエグジットすることはできません。

ですので、外部から有能な経営者をヘッドハンティングして何とか

短い期間で企業価値を上げるような努力をします。しかし、それでもPEファンドが

SPCスキームで投資を行い、企業価値を上げてエグジットするにはやはり

3〜5年はかかります。このように、従来の時間のかかるところをSPACは

省いているということもできます。SPACスキームの場合には

SPACという空箱のままIPOしてしまうので、この企業への投資家に

とってみればIPO後に株式市場を通じて投資を回収することができるところ

が特徴です。

SPCはLBOの手段としてもよく利用されます。LBOとは、SPCが

金融機関から高利率で買収資金を借り、その資金で買収した上で、

対象会社と合併し、当該買収資金を金融機関に返済していくものです。

SPCとは

SPCとは「Special Purpose Company」の略で「特別目的会社」を指し、

特別目的会社は事業内容が特定され、その特定の事業のために設立さ

れた会社をいいます。

このうち、資産の流動化に関する法律(以下「SPC法」)によって資産の

流動化を目的として設立される会社を「特定目的会社」(以下「TMK」)と

いいます。つまり、SPC法におけるTMKはSPCに含まれる概念です。

また、より大きな概念としては、特別目的事業体

(Special Purpose Vehicleの略、以下「SPV」)があり、このうち法人格

を有するものをSPCと呼んでいます。 SPVのうち法人格のあるものがSPCであり、

SPCのうちSPC法により設立されたものがTMKという関係になります。

一般的にM&AにおいてSPCを利用するスキームにおいて譲受企業が対象会社

を譲り受けるために「買収目的会社SPCに対して出資をして設立する」

というものがあります。

SPCが金融機関等から借入を行い、当該SPCが対象会社の株式を取得後、

SPCと対象会社を合併させて子会社化する、という形でM&Aを完了するのです。

この場合、当該SPCと譲渡企業は100%親子関係になり、その後両者が

合併し、買収会社と合併後の対象会社が親子関係になります。

SPC法とは

SPC法とは、「資産の流動化に関する法律」のことを言います。

これは、平成10年に施行されていた「特定目的会社による特定資産の

流動化に関する法律」(以下「旧SPC法」)を、より使い勝手を良く

しようという趣旨で、対象資産を財産権一般に拡大し、名称もそれに

合わせて変更し、平成12年に改正・施行されたものです。

旧SPC法は、SPCを利用した資産証券化の促進を目的とし、

海外SPCの利用による国内の空洞化を防止しようとするものでした。

SPACのデメリットは

SPACには、すでに波紋を呼ぶ案件がでており、米国では法整備が進んでいます。

2020年6月、ニコラという会社は、SPACを活用して、ナスダック上場企業に

なりました。上場後は90ドル以上の値を付け、二酸化炭素を排出しない

大型トラック開発事業であることから、成長企業をイメージさせ一時的に

株価は急騰しました。しかしその後、ニコラをカラ売りしている投資会社が

「ニコラの技術には虚偽がある」とするレポートを公表したことで暴落が

起こり16ドルまで株価は値下がり、創業者はが辞任するという出来事が

ありました。このようなケースも考えられ、

ルールが整いきっていないことがSPACのデメリットと言えます。

SPACは監督や監視が欠如しているため不正が起きる恐れがあり、投資家に

とってはリスクが大きいところがデメリットです。米証券取引委員会(SEC)は

警鐘を鳴らしています。

ということで、SPACのリスクをまとめると

・不十分な資産査定 

・不正確な財務報告書>

・虚偽記載と脱漏

・経営実績の不在

・経営管理の不備

・利益相反

などがあげられます。いわゆる、SPACは「空箱」のままでの

上場なので、実在するリスクが不透明なところがデメリットと

言えます。

まとめ

上記のデメリットを考えると

SPAC市場の長期的な持続性は、リスク管理の包括的な枠組みと

明確な規制上のガイドラインを作ることにより、管理と安全性を

高められるかどうかに掛かっていると思います。

SPACを通じて上場する企業を、従来型IPOを通じて上場する

企業と同様に厳しく審査する仕組みを確保することが

日本での承認されるかについても、大きな課題となる

と思われます。

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プロフィール


Yoshi

こんにちは、Yoshiと申します。
約20年に及ぶ外資系銀行でのトレード経験を活かして金融情報を独自の視点で発信しています。FX市場に携わって約20年経ちますが、現在は他の金融市場(株式、コモディティ、暗号通貨)の関連性を含めて独自目線で情報提供しています。
主な資格:
米国公認会計士合格(ワシントン州)
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