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スコット・マイナード氏がディスインフレを予想する理由とブレークイーブンインフレ率(BEI)とは?

現状、アメリカ市場では、インフレを懸念する声が強まり、

またコンセンサスとなりつつありますが、それとは真反対

の見方をしている、カリスマヘッジファンドのオーナーが

います。

その人とは、グッゲンハイム・パートナーズのスコット・マイナード氏

ですが、コンセンサスから外れた予想を続けています。

彼は、米経済における趨勢的なディスインフレがまだ継続するという

予想をたてています。

今後数か月のうちにインフレ懸念がさらに高まり債券が売られるなら、

それは買いのチャンスだという見方をしているようです。

ディスインフレに慣れきった日本人からは想像するのが難しいが、

米市場におけるインフレ懸念はかなりのものとなっています。

ブレークイーブンインフレ率とは?

これは、市場が推測する期待インフレ率を示す指標のことです。略して「BEI」とも

呼ばれています。物価連動国債の売買参加者が予測する今後最大10年間

における年平均物価上昇率を示します。

ここでの物価変動はコアCPIと呼ばれる「全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)」

を基準とします。

物価連動債(インフレ連動債)は、物価上昇率(インフレ率)に応じて、

元本が調整される債券です。通常の固定利付債の場合、元本とクーポン利率は

固定であり、利払い額および償還額は変動しないため、物価が上昇すれば、

実質ベースでみた(物価上昇分を割り引いた実質的な)債券の価値は

低下して しまいます。一方、物価連動債の場合、クーポン利率は

固定であるものの、物価上昇に連動して元本が増加するため、

利払い額や償還額が増加します。従って物価連動債は、

インフレがおきても実質的な価値が低下しない債券、といえます。

ブレーク・イーブン・インフレ率とは、同年限の物価連動債と名目金利債券に投資する際、

両者の利回りが等しくなる(break even)ようなインフレ率を指します。

また、名目利回り、実質利回りはともに市場で取引されるそれぞれの債券価格に

よって決まるため、ブレーク・イーブン・インフレ率は、市場が織り込んでいる

期待インフレ率にほぼ等しいと考えることができます。

名目債券利回り=実質利回り+期待インフレ率+リスク・プレミアム

物価連動債は実質価格で取引されるため、実質金利が低下すればキャピタル・ゲインが

獲得でき、反対に実質金利が上昇すればキャピタル・ロスが発生します。

また、名目金利の債券との相対的なパフォーマンスという点においては、

インフレ率が上昇するほど、インフレ調整後の元本、およびクーポン収入(インカム・ゲイン)

が増加する物価連動債がアウトパフォームします。逆に、インフレ率が想定していた水準より

も低下すれば、物価連動債のインカム・ゲインは減少するため、物価連動債が

アンダーパフォームすることになります。

従って、物価連動債の保有はインフレ率が上昇し、実質金利が低下する環境に

おいて有利になるといえます。たとえば、インフレ率が上昇しているにもかかわらず、

景気への配慮から中央銀行の利上げが迅速に実施されない局面などが考えられます。

現状のブレークイーブンインフレ率の動向は

多くの人が、インフレに賭けこそしなくても、インフレの可能性をかなり見ています。

その結果として、現状の動きは↓のようになっています。

債券市場が予想する将来のインフレ率であるブレークイーブン・インフレ率は

4月30日で10年もの2.41%、5年もの2.57%と高い水準にあります。

今後10年間の平均で、債券市場は米インフレを2.41%と見ており、言うまでもなく

これはFRBの2%物価目標を大きくオーバーシュートしています。

もちろんブレークイーブン・インフレ率は1つの予想であって(他の指標と同様)

何らかの歪みがあるかもしれないし、ましてやインフレの実績値ではありません。

だから、一面で債券市場が高いインフレを予想していても、現実はもっと

低くなることもあります。

スコット・マイナード氏がディスインフレを予想

スコット・マイナード氏は、過去数十年の趨勢的なディスインフレの

向かい風は結局、一時的な供給不足による物価上昇よりも長く続くことに

なると示唆している、としています。

マイナード氏のオフィスが同社サイトで、ディスインフレの継続を予想

しています。

ディスインフレを予想する理由は

経済再開による需要増は一時的要因。

供給能力不足も通常短期間で終わる。

足下の高い物価上昇率の一因であるベース効果は、来年は逆に効く。

ヘルスケア分野では、パンデミック関連需要が終わる。

ワクチン接種で労働力の供給増が見込まれる。

いずれも実体経済にかかわる要因である点、まっとうな分析だが、

マイナード氏の分析のなかに、財政にかかわる要因に

触れられていないのが市場のコンセンサスと違う部分

のようです。

マイナード氏はまさにそれを予想しています

長期で株式・債券ともに上昇する、あるいは

ディスインフレは続くが、日本化も進み、株式は低迷する。

そして、マイナード氏のディスインフレ予想が外れる場合のシナリオとして

リスク資産市場での高揚がしばし続くが、そう遠くなく

冷水を浴びせられることになるが、マイナード氏はそれをメインシナリオ

とはしていないようです。

まとめ

マイナード氏は、FRBのテーパリングまでは市場予想よりはるかに

時間があり、長期的に株式・債券ともに上昇すると予想しています。

しかし、現状の市場においてはこれは、マイナーな見方で

ディスインフレが続くのに良いことばかりという見方について

市場は懐疑的なようです。

ブレークイーブンインフレ率(BEI)とは?TIPSとの関係と現在市場が示唆していることは!?

 

 

 

 

プロフィール


Yoshi

こんにちは、Yoshiと申します。
約20年に及ぶ外資系銀行でのトレード経験を活かして金融情報を独自の視点で発信しています。FX市場に携わって約20年経ちますが、現在は他の金融市場(株式、コモディティ、暗号通貨)の関連性を含めて独自目線で情報提供しています。
主な資格:
米国公認会計士合格(ワシントン州)
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