IPOとは?新規上場株式における引受会社(主幹事証券会社)の役割とは!
IPO(Initial public offering)という言葉を聞いたことが
あると思います。
株式投資家が注目するひとつですが、このIPOについて
実際に株式を上場に至るまでどのような過程を
必要となるのか、興味のあるところです。
そこで今回はこのIPOの仕組みについて調べてみました。
IPOとはなに?
まずそもそも「IPO」とはなにか、という問題ですが
新規上場株式(IPO)とは、未上場の企業が、新株の発行(公募増資)や
売出を行って、証券取引所に上場することをいいます。
公開された株式は投資家が市場で売買することができます。
新規上場株式は、ブックビルディングの際に、引受証券会社が仮の
発行条件を投資家に提示して、ブックビルディング期間に
投資家の需要を調査した上で、公開(発行)価格を決定する
しくみとなっています。
引受会社(主幹事証券会社)の役割は
そこで、このIPOに重要な役割を果たす、引受会社の役割
について調べて見ました。
上場の意思決定後、早い段階での主幹事証券会社の決定が必要となります。
上場にあたっての体制整備と手続きには非常に大きな労力を要するため、
専門的な意見を受けつつ、計画的に準備をすることが重要です。
主幹事証券会社の役割には、下記の事柄があります。
・上場準備段階での資本政策や社内体制整備の指導
・上場に際しての手続き、株式の募集・売出しなどを引き受けるための引受審査
・株式の販売
以上のように主幹事証券会社の役割は大きいです。
主幹事証券会社には、上場時の募集・売出しの引受、上場後の証券市場での
資金調達・IR活動の支援などの役割もあります。
IPOのスケジュールは、IPOを行う期の2〜3年前からスタートするのが
一般的です。証券取引所の規則により、申請期の前2期間については、
公認会計士等の監査証明が必要となるからです。
主幹事証券会社の選定・契約は、IPOのスケジュールの開始時点である
申請期の2〜3期前に行います。
IPO準備開始から上場申請直前までの役割は、
準備の開始から上場申請までは、専門的な見地から分析や
アドバイスを行います。
具体的には、
・主幹事証券会社株式上場を踏まえた成長戦略、資本政策等についての分析
・アドバイス成長戦略を踏まえた市場選択等についてのアドバイス
・情報提供内部管理体制等の整備にかかる課題事項の抽出、対応のアドバイス
・株式上場に向けたスケジュール案の策定
・証券会社審査部門による上場審査の実施上場申請書類の作成支援、
推薦書の発行、取引所への申請エントリーと事前確認、その他取引所上場審査に向けたアドバイス
などです。
そして資本政策作成前に提出する資料としては
・事業報告(過去3期分)
・税務申告書(過去3期分)
・定款
・株主名簿
・特別利害関係者リスト
・今後の事業計画書(利益計画書)
・資本政策を作成する際のポイント
これらの資料を、会計監査と同様に、引受会社も
確認する必要があります。
主幹事証券会社は、IPO全体のスケジュール管理や、公開価格の
決定などの中心的な役割を担う証券会社です。上場までの手続における
様々な場面で、サポートを行う等、重要な役割を果たしています。
また証券会社は、会社が発行する株式を第三者に販売するために
卸売の役割を果たします。
そして、上場後の役割については、
上場後は、助言を行う立場としての役割を果たすこととなります。
その例としては
・安定株主対策等の株式市場対策に関する助言
・公募増資、社債等の資金調達に関する助言
・国内外の金融、経済等に関する情報の提供、決算発表等
・情報公開に関する助言
などです。
具体的確認事項
そして、主幹事証券会社は以下のことを留意する必要があります。
・東証上場かJASDAQまたはマザーズなどか 東証上場などの場合、流通株式時価総額に留意する
・安定株主の明確化 経営主体の明確化、子会社の場合は親会社のグループ政策
・上場に至るまでの計画年数 ファイナンス時期の見通し
・上場に至るまでの利益計画 ファイナンス時期の見通し・1株指標の検討(EPSなど)
・上場に至るまでの資金計画 ファイナンス規模の検討
・割当先 金融機関、取引先などとの協力体制の確認
・役員の株式所有状況 経営参加意欲の向上、経営責任の明確化
・従業員持株会の株式所有状況 勤労意欲の向上、福利厚生としての位置付け
・法律的に留意すべき事項 会社法、金融商品取引法、所得税法など
・関係会社の設備状況 合併、営業譲渡および譲受けなどの可能性の有無、許認可事項など
・上場後の計画 JASDAQまたはマザーズから東証本則市場への変更、あるいは、二部から
一部指定への意欲。
上場までの流れは
経営者ははじめに、株式上場にあたり留意すべき点を踏まえ、株式上場の
意思決定を行います。次に、上場する証券取引所の市場区分の意義や相違点を鑑みつつ、
会社の戦略・その他の事情などを総合的に判断したうえで市場を選択します。
以上の事柄が決定してはじめて、株式上場の準備作業の開始となります。
株式を上場するまでの期間は「上場準備期間」と「申請年度」に分けられ、
準備に着手してから上場に至るまでに要する期間は、東証の場合は3~4年、
JASDAQやマザーズの場合は3年程度が通常です。
そして具体的手順は以下のようになります。
1.監査法人(公認会計士)を決定する
2.主幹事証券会社を決定する
3.外部主要株主等から了承を得る
4.プロジェクトチームを編成する
株式を上場するにあたり多く見られるのは、主要部門の実務担当者でプロジェクトチームを構成し、全社的な協力体制を整えるケースです。
5.印刷会社を決定する
印刷会社は有価証券届出書や目論見書だけでなく、公募・売出しに関する株券を
印刷する役割も持っています。また、主幹事証券会社や監査法人の指導によって作成し
た書類をチェックするなど、公開準備をサポートしてくれる存在でもあります。
6.株式事務代行機関を設置する
株式公開会社には、上場までに、証券取引所が指定する株主名簿管理人に
株式事務を委託することによる株式事務代行機関の設置が義務付けられています。
これには、株式事務に関する法律問題や株式に関する専門的知識などにより
(出典:http://www.agateconsulting.jp/ipo/consider/chapter10.php
IPO会社の経営管理体制の構築
上場しようとしている会社の経営管理体制を整えることが大事となります。
経営管理体制は、申請日の直前事業年度から少なくとも1年前までに整えておき、
1年間の運用実績を積むことが重要です。
経営管理体制には内部牽制組織・諸規定の整備や関係会社の整理と
いったさまざまな内容を含んでいます。業種や企業規模を考慮したうえで、
整備後の姿をイメージしなければなりません。
また資本政策を作成することも重要です。
申請会社は主幹事証券会社や公認会計士などに資本政策のアドバイスなどを
求めつつ、資本政策を作成します。作成したあとは、資本政策を作成する際に
留意すべき点を満たしているかのチェックを行います。
そして資本政策を実行します。
第三者割当増資に関しては、3ヶ月前までには割当先との交渉を
開始する必要があります。
増資日程、株主総会議事録、取締役会議事録など増資に必要となる手続き書類は、
主幹事証券会社や株主名簿管理人などからサンプルを入手し、参考にして作成します。
また業績見通しの変更、大幅な株式市場の変動がある場合は、資本政策の見直しを行います。
まとめ
今回は、投資家に注目されているIPOについて、とくに
IPOに至る過程と引受証券会社の役割について調べましたが、
投資家の信頼を得るためには、その上場申請企業内容と内部統制
資本政策についてのアドバイスなど重要な役割をもっている
ことが分かります。
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