Institutional Investor誌:ヘッジファンドの2023年夏へのS&P500の弱気のポジションは!
Institutional Investor誌がヘッジファンドのS&P500
のポジションについて興味深いレポートを出して
いるので紹介します。
Institutional Investor:ヘッジファンドは弱気
ヘッジファンドが市場に対してこれほど弱気になったことはほとんどない。
Institutional Investorの姉妹会社であるNDRのレポートによると、
S&P500先物契約におけるファンドのネットショートポジションは
現在、2015年10月以来2番目に高い水準にあります。また、
PivotalPathのデータによると、S&P500先物を最も活発に
取引しているマネージド・フューチャーズは、現在、同指数への
エクスポージャーが2017年6月以降で最も低くなっています。
マネージド・フューチャーズは、ヘッジファンド全体のセンチメントを
示す指標となり得ます。”PivotalPathのCEOであるJon Caplisは、
「(マネージド先物は)S&P 500に対してこれほどネガティブな
エクスポージャーを持つことはほとんどありません。”わずかに
低いエクスポージャーを見つけるには2012年12月まで、
持続的に低いエクスポージャーを見つけるには2004年まで
遡る必要があります。”
ヘッジファンドの今の弱気な見通しは、2023年第1四半期の
市場の好パフォーマンスと同期していない。1月から3月にかけて、
S&P500指数とナスダック指数はそれぞれ7%、16.8%上昇した。
S3 Partnersのデータによると、市場に賭けるヘッジファンドや
その他の投資家を含む空売り筋は、同期間に平均6.7%の損失を出したという。
NDRのレポートでは、「暴騰の初期段階には、疑心暗鬼になる人が
少なからずいる」と述べています。”最初の買い手の中には、
株を所有することに抵抗があり、トラブルの最初の兆候で
売ってしまう人もいる。”
しかし、NDRは、ヘッジファンドが今年初めに始まった市場の
上昇に懐疑的である十分な理由があると論じている。過去10カ月間、
米国経済はインフレ、タカ派的な中央銀行、景気後退懸念に悩まされて
きた。また、2022年には投資家が空売りをカバーしたことで
市場が何度か上昇したが、すぐに下降に転じ、市場全体の方向性に
対する懐疑的な見方をさらに助長した。
また、最近のシリコンバレー銀行の破綻も、金融市場の健全性に
対する懸念を助長している。NDRの報告書は、「地方銀行の危機を受け、
2023年の好調な滑り出しに疑問を抱くのは、破滅論者である必要はない」と
述べています。”米国史上2番目と3番目に大きな銀行の破綻、UBSによ
るクレディ・スイスの買収、銀行が融資基準を(引き締め)
るという見通しは、すべて正当な懸念理由である。”
年金基金や養老院を含む機関投資家は、2023年以降の市場見通し
について、ヘッジファンドよりも前向きな姿勢を示しているようです。
NDRによると、機関投資家がS&P500指数に対してネット・ショート・ポジションを
持つことはほとんどありませんが、経済がインフレ率の急上昇と連続利上げの
両方と戦っていた2022年の第2四半期と第3四半期には、ネット・ロング・ポジション
が過去最低水準になったことが確認されています。
しかし、NDRの報告書によると、これらの機関のセンチメントは2023年に
入ってから大幅に改善されており、彼らのネットロングポジションは
2022年後半に比べて今年56%増加しています。
NDRによると、マクロ経済状況の改善や予想以上の業績報告によって市場が
上昇した場合、市場に賭けているヘッジファンドはショートスクイーズに
陥る可能性があるという。しかし、Caplisは特に懸念していません。
「ショート・スクイーズの可能性については、何とも言えない」と彼は説明する。
「S&P500先物市場は非常に流動的で奥行きがあり、一般的にマネージド・
フューチャーズ・ファンドは長い時間軸で運用されているため、
日中のショートスクイーズの一環というよりは、
数日から数週間かけてポジショニング(変更)が行われると思われます。
参照
https://www.institutionalinvestor.com/article/b8y8bxb25pspvj/Hedge-Funds-Signal-Tough-Times-Ahead“
まとめ
Institutional Investor誌のNDRレポートによると
ヘッジファンドは、現状歴史的なショートポジション
をとり、ベアに備えているとのことです。
この弱気な見方がその通りなるのかわかりませんが
市場のセンチメントは、金融に対する不透明感
景気後退と金利高を懸念している見通しが
占有しているようです。