MTN(ミディアムタームノート)プログラムと私募債の違いとメリットは!
企業にとって資金調達は、企業の存続と運営のうえで最も重要な
要素のひとつです。その資金調達手段のひとつとして社債発行
は重要な役目をになっていますすが、その社債発行の手段
についても様々です。
その社債発行については、その手続きが煩雑であったり、また
時間がかかったりとそれぞれの手段について、長所と短所が
あります。
そのなかでも今注目されているMTNプログラムについて
調べてみたいと思います。
MTNプログラムとはなに?
MTNプログラムとは、資金調達の意思決定から起債までの
プロセスを短縮する目的で利用されます。
一般に債券の発行する際に問題となるのは、手続きには時間がかかり
市場の動きに合わせて臨機応変に起債を行う障害となることです。
こういった不便さを改善する目的で設立されたプログラムが
MTNプログラムです。
発行体と引受業者はあらかじめ発行条件の概要を協議し決定し、
プログラムに関する包括的な契約を締結しておきます。
発行時にクーポンや償還日、発行通貨などの条件の細部を追記的に
決定することで、短期間の起債が可能となります。
このMTNプログラムは、ユーロ市場で頻繁に活用されています。
日本では仕組債の発行に多く用いられています。
MTNと私募債との違いは
よく私募債という言葉を聞きますが、MTNプログラムとの違い
は、MTNは、手続きの簡略化を目的としたもので、
ある意味私募債と似た面があると思います。
企業が、まとまった資金を調達する方法として、
私募債という選択肢がありまが私募債は、中小企業に資金調達に
使われることが多いです。
中小企業の資金調達といえば、銀行融資が代表的です。しかし、
銀行から融資を受けるためには、保証人や担保を用意し、厳しい
審査を通過する必要があるため、中小企業がスムーズに
利用できるとは限りません。中小企業が、手軽・低コストで
資金調達できる方法が、私募債ですが、この私募債は資金繰りの
目的には不具合で、どちらかいえば、新規事業資金などの調達
目的に合った調達手段です。
私募債は、償還期限を迎えると、債務者は元金を一括で、債務者
に返還する必要があるところが、銀行借入と違うところです。
現段階で資金繰りに問題がある場合は、私募債の発行は
一時しのぎとはなりますが、問題の本質を解決することに
ならないからです。
そして私募債は財政状況が悪いと発行できないところが特徴です。
私募債を発行するためには、公募債よりは易しいものの、純資産額や
自己資本比率などの適債基準をクリアする必要があり、ハードルが高い
のも事実です。財政状況が悪化し、資金繰りに問題を抱えている企業には、
私募債の発行は困難となります。
MTNプログラムのなかには、私募債として発行する場合と
公募債として発行する両方があるようです。
企業が発行する社債は、私募債と公募債に分かれます。
公募債は、証券会社を通じて広く投資家を募るものですが
公募債は大規模な資金調達が行える一方で法律により厳しい
規制が設けられています。公募債を発行する時には
有価証券届出書の提出が必要なところが私募債と違う
ところです。
一方、私募債は、募集対象を限定して発行する方法です。基本的に、
少数の投資家が社債を直接引受けることが特徴で、公募債に比べると、
比較的規制が緩やかとなっています。
MTNのメリットとユーロ市場での役割は?
ユーロ市場とは、通貨国外で当該通貨資産を保有する投資家を
対象とした市場です。
ユーロ債とは、ユーロ市場で発行される債券のことを言います。
例えば、日本国外で流通する日本円建て金融市場はユーロ円市場と呼ばれます。
一般的にユーロ債は、表示通貨国外で発行され、複数の国に
またがるシンジケート団によって引受と販売が行われています。
また、ユーロ債は表示通貨国の規制を受けていません。
ユーロ債の多くはロンドン証券取引所やルクセンブルク証券取引所
に上場しています。MTNプログラムはよくEMTNプログラムと
表記されることがありますが、これはユーロ市場で発行された社債を指します。
ユーロ市場は、オフショア市場のひとつで、国内市場とは区別され、
主に非居住者向けの国際金融取引のために、税制や取引規制などの
面から制約を少なくした市場を指します。オフショア市場の発展により、
発行体はより有利な条件で、多様な投資家層を擁する発行市場を
選択することができるようになってきました。そこで、ユーロ市場発行
のMTNプログラムは現在さかんに使われるようになった背景のひとつと
言えます。市場によって需給環境などが異なることから、市場間の比較も
重要性を増しています。
よくサムライ債と比較されますが、日本のサムライ債市場では
日本国外の発行体が円建てで資金調達を行います。サムライ債は
日本の国内市場において外国企業・外国政府など国外の発行体が
発行する日本円建て債券はサムライ債と呼ばれます。サムライ債は
1970年にアジア開発銀行によって初めて発行され、現在に至るまで
発行体や債券の種類を多様化させながら残高を増やしています。また、
日本において発行された国外の発行体の外貨建て債券は
ショーグン債と呼ばれます。これら発行市場の違いによって
債券の種類が分けられますが、MTNはどちらかといえば、
発行過程に焦点を当てた名称であるといったほうがいいのかも
しれません。
まとめ
MTNプログラムは、国内では、仕組債の発行で使用される
ケースが多いです。
MTNプログラムは、発行体と引受業者はあらかじめ発行条件の
概要を協議し決定し、プログラムに関する包括的な契約を締結しておくもので
あくまでも発行体と引受業者との手続き過程によって名称された
もので、私募債は、発行後の所有人数を50人未満で維持するため、
譲渡制限を設ける必要があります。基本的に少人数私募債の発行対象は、
債権者数の管理を行うために、経営者の親戚や友人、取引先などの
縁故者とするケースが多いです。
MTNプログラムは、発行体と引受業者の手続きを簡潔化して
機動的に発行者が社債の発行と流通を可能にするプログラムで
あると言っていいと思います。