
インフレ連動債とブレイクイーブンインフレ率(BEI)と実質金利の関係は!
インフレ連動債は、物価上昇率に応じて、元本が
調整される債券です。
インフレ連動債の第一の特徴としては、債券購入者
にとって、従来型債券を購入した場合には不可避の、
発行時点での実質金利未確定という意味でのリスクの
回避が可能となります。
通常の固定利付債の場合、元本とクーポン利率は固定であり、
利払い額および償還額は変動しないため、物価が上昇すれば、
実質ベースでみた(物価上昇分を割り引いた実質的な)債券の
価値は低下してしまいます。一方、物価連動債の場合、
クーポン利率は固定であるものの、物価上昇に連動して
元本が増加するため、利払い額や償還額が増加します。
インフレ連動債は、インフレがおきても実質的な価値が
低下しない債券、といえます。
米国債は売られ過ぎ?
25兆ドル(約3560兆円)規模の米国債市場に3つの
攻撃があった。フィッチが米国から
トリプルA格付けを奪ったタイミングで、米国債供給が
急増した。その数日前には、日銀の措置を受け
レパトリエーション(本国への資金回帰)の新たな
時代到来は近いかもしれないとの観測が強まった。
出典:ブルムバーグ
なぜ今インフレ連動債趣向?
インフレ連動債は実質価格で取引されるため、実質金利が
低下すればキャピタル・ゲインが獲得でき、反対に
実質金利が上昇すればキャピタル・ロスが発生します。
また、名目金利の債券との相対的なパフォーマンス
という点においては、インフレ率が上昇するほど、
インフレ調整後の元本、およびクーポン収入
が増加するインフレ連動債がアウトパフォームします。
逆に、インフレ率が想定していた水準よりも低下すれば、
インフレ連動債のインカム・ゲインは減少するため、
インフレ連動債がアンダーパフォームすることになります。
従って、インフレ連動債の保有はインフレ率が上昇し、
実質金利が低下する環境において有利になるといえます。
インフレ連動債が趣向される背景は、インフレが
上昇している局面だといえます。
BEIとは
ブレーク・イーブン・インフレ率≒期待インフレ率
名目債券利回り≒実質利回り+期待インフレ率
という公式が成り立ちます。
BEIブレーク・イーブン・インフレ率とは、同年限の
物価連動債と名目金利債券に投資する際、両者の
利回りが等しくなる(breakeven)ような
インフレ率を指します。また、名目利回り、実質利回り
はともに市場で取引されるそれぞれの債券価格によって
決まるため、ブレーク・イーブン・インフレ率は、
市場が織り込んでいる期待インフレ率にほぼ等しいと
考えることができます。
債券の名目利回りの要素は以下のように分解する
ことができます。
名目債券利回り=実質利回り+期待インフレ率+リスク・プレミアム
また、名目利回りと物価連動債のインフレ調整後利回りを
等しくするブレーク・イーブン・インフレ率は、
次のように表すことができます。
名目債券利回り=実質利回り+ブレーク・イーブン・インフレ率
リスク・プレミアムについてはその測定が容易では
ないため、一般的に、ブレーク・イーブン・インフレ率を
ほぼ市場の期待インフレに等しいとみなして利用されています。
まとめ
今回は、インフレ連動債について調べてみましたが
名目金利は、実質金利に期待インフレ率、すなわち
期待インフレ率は、べレイクイーブンインフレ率と
同等なので、BEIを加えたものが、債券名目金利と
言えます。インフレ連動債は、この関係から、実質金利が
低下して局面に、機能する債券と言えます。
ブレークイーブンインフレ率(BEI)とは?TIPSとの関係と現在市場が示唆していることは!?