HICPとは?ECBが2020年12月に動く可能性とユーロ円相場への影響は!?
ユーロ圏の経済指標のなかでよく「HICP」ということば
をよく目にします。
それは、とくにコロナ以降顕著な傾向を示している
ことと、この指標がECBの金融政策に大きく影響
を及ぼすからです。
そこで、まずHICPとはなにか?そして、これが今後
のユーロ円相場に与える影響について考えて
みたいと思います。
HICPとは?
HICPとは、消費者物価指数(Harmonised Index of Consumer Prices)
のことです。欧州連合統計局がユーロ加盟国の消費者物価指数
をまとめた数値を指しています。HICPには、速報値、改定値の
2種類がそれぞれ月に1回ずつ発表されます。
速報値はおおよその数値のことで、改訂値は、発表までに
間に合わなかった統計データなどを追加したり、
修正した後、発表された数値のこと別名確定値とも
言われることもあります。
9月ユーロ圏HICPの動きは
9月のユーロ圏HICPは予想以上に縮小しています。
フラッシュ予想では前年同月比0.3%の減少となりました。
確定すれば2年連続の下落となり、2016年4月以来の最大の
下落となります。
この落ち込みは、エネルギーの減少圧力
(前年同月比8.2%減、8月は同7.8%減)によって
一部説明できるとしても、コアインフレ(食料・エネルギーを除く)
が急減速したことを反映しており、前年同月比0.2%増
(過去最低ペース)にとどまっています。
Now on headline inflation, ECB staff projections had +0.1% in Q3-20 (vs -0.02% realised) and -0.2% in Q4, which is likely to be revised lower as well. pic.twitter.com/QZKmwgiM1y
— Frederik Ducrozet (@fwred) October 2, 2020
Everyone's favourite ECB chart. #glwt pic.twitter.com/wesPQMpsTS
— Frederik Ducrozet (@fwred) October 2, 2020
この傾向は、ドイツの付加価値税(VAT)の一時的な引き下げと、
医療関係部門の低迷が続いており、航空運賃などの
交通費やホテル・レストランの価格に影響を与えていることが
主な要因と考えられます。このような状況が続き、原油価格の
下落が続いている状況では、ユーロ圏のHICPは少なくとも
年末まではマイナス圏か0%に近い水準で推移すると
考えられます。すなわちコロナウイルスショックがデフレに
陥っていることが確認されています。
フレデリック・デュクロゼット氏が指摘するように
、ECBの最新の予測(9月発表)はあまりにも楽観的の
ように見えます。
ECBは12月に動く?
そのため、ECBは12月に予想を更新する際に、
インフレと成長率の両方の予想を下方修正する可能性が高いです。
ワクチンの開発などのポジティブなサプライズががない場合、
ECBは短期的にデフレリスクを抑制するために新たな措置
を講じてくる可能性があります。具体的には、ECBは
インフレ目標を見直したり、資産購入プログラムの
規模を拡大したりする可能性が高いと思われます。
ユーロ円相場の見通しは
(出典:楽天チャート)
↑のチャートはユーロ円相場の5年間の動きですが
コロナ後にユーロ円は長期の抵抗線を上抜けした
フォーメーションですが、ここにきてユーロ高も
息切れしつつあるチャートとなっています。
約2年にわたるダウンチャンネルを引きずって
いるとするならば、2020年の12月にかけて
は再び、底値を確かめる動きになるのでは
と予想します。ECBは12月にさらなる量的緩和
に動く可能性が高く、マーケットはこれを織り込み
にいくことが予想されます。
まとめ
ユーロ圏では、コロナ後ますますデフレが進行
していることが、HICPの動きからわかります。
この助教を打破するためにECBはさらなる
資金供給を行うことを決定する可能性が高い
ですがそれをマーケットが織り込む展開に
12月にかけて起きることを予想します。
ユーロ円は再び115円台の前回の底値
を試す動きを年末むけて予想しております。