ベーシス取引をわかりやすく!ネットベーシスとチーペストによる算出方法は!
ベーシス取引が、投資家、金融機関の間で活発
に行われています。これは、アビトラージ取引
のひとつで、国債先物と国債現物との間の
裁定取引ベーシス取引といいます。
ベーシス取引とは
国債先物を購入あるいは売却した場合には、
残存の国債が受け渡されることが
前提です。通常は、7年国債を受け渡す
コストが一番低い状態が続いています。
先物を売り建てた場合、受け渡し日に
7年国債受け渡す必要があります。先物を
売り立てる同時に7年国債を買っておきます。
気をつけるべきことは、先物取引において
現物決済を行う場合、コンバージョンファクターで
調整する必要があることです。
先物を売って現物を買う場合、もし
前者が100円で、後者が99円の場合
決済のタイミングで1円の収益がでます。
すなわち、この両者の間に大きな乖離が
生じている場合に、大きな収益機会が
生まれます。
ベーシス取引に英中銀が警戒
ヘッジファンドに人気のある米国債先物市場でのレバレッジを効かせた取引が、
世界の金融安定を脅かす。イングランド銀行(英中央銀行)が
12日公表した金融安定報告でこう警鐘を鳴らした。
同報告によれば、ヘッジファンドなどレバレッジを使う投資家の
米国債先物ショートポジションが最近増えている。市場の情報に
よると、これらのポジションは「債券またはスワップに対する」もので、
価格が急激に動けばポジションのレバレッジ解消が市場ストレスを
増幅させかねないと英中銀は論じている。
ヘッジファンドはいわゆるベーシス取引で現物債と先物の価格差から
利益を得ようとする際、リターンを高めるためレポ市場での借り入れ
を使ってポジションを膨らませる。
ボラティリティーの低い環境ではこの戦略は奏功することが多いが、
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で
米国債先物市場に資金が殺到した2020年3月には裏目に出た。
こうした取引からのリスクは「総じて対処がされておらず、急速に
再び表面化する可能性がある」と英中銀は指摘。「特に、急激な
金利上昇の環境と現在の高いボラティリティーは、市場ベースの
ファイナンスの脆弱(ぜいじゃく)性が顕在化し金融安定に
対するリスクとなる公算を大きくする」と分析した。
最近の米国債ポジションは、ヘッジファンドがベーシス取引を
増やしていることを示唆している。金利エクスポージャーを
ヘッジするため、資産運用会社が大挙して取引の相手方と
なっていることもベーシス取引の拡大を容易にしている。
(出典:ブルムバーグ)
https://news.yahoo.co.jp/articles/aa4e78a9756af778f0872242022d0471c19f9ec1
グロスベーシスとは
これは、現物価格と先物価格にコンバージョンファクターを
乗じた、すなわち受渡価格の差のこといいます。
ネットベーシスと算出方法
ネットベーシスとは、この取引をするためのコスト
すなわち、レポコストと国債を在庫として保有
することで得られる利子収入を加味した
ものです。
ネットベーシスは、先渡価格-先物価格 x cf
です。
チーペストとは
先物の売り手は、自分にとって得となる銘柄を
受け渡したいと考えます。
例えば、先物を売り建ており、最後まで反対売買
を行わず、、受渡し日に国債を受け渡す必要が
生じた場合、発注するなりして、国債を調達
しなければなりません。この現物価格が受渡しを
行う際のコストとなります。
一方で受け渡す方は、受渡し価格、すなわち、
先物価格※CF– 現物価格の最も大きい銘柄を
受渡しインセンティブが働きます。
先物価格はひとつなので、受渡し可能な
国債の中から、CFが大きい銘柄が売り手にとって
最も利益の高い銘柄となります。
クーポンが6%以下であれば、年限が短いほうが
CFは大きい傾向となる。
このように、受渡しのメリットが銘柄
をチーペストといいます。
実際には、キャリーを加味した、ネットベーシス
との差を考慮して、チーペストが選定されます。
まとめ
今回は、ヘッジファンドなどのプロの投資家の間
で多用されてい、ベーシス取引について
調べました。
先物と現物の間には、コンバージョンファクター
とまた思惑によって乖離するものですが、その
歪みを利用して、また最終的には収斂していくことを
想定したポジション取りです。