ツイストオペとは?焦点のSLR規制との関係と現在異常な10年レポ市場の背景は!
パウエルFRB議長が、昨日にスピーチで現在の米国債券市場、
特に長期金利の急上昇の対策について、特に言及しなかった
ことに失望が広がっています。とくに、目先の対策して考えられる
のが、ツイストオペ、SLR規制再開の延期、そして現在のレポ市場
の問題には言及しまかったことに動揺が広がっています。
そこで、今回はツイストオペについて、そして、この3月に注目される
SLR規制の再開の懸念と、現在レポ市場で起きている異常な現象の背景
について調べてみました。
ツイストオペとは?
ツイストオペは、オペレーション・ツイスト(Operation Twist)の略称で、
中央銀行が長期国債の買いオペ(あるいは売りオペ)と短期国債の売りオペ
(あるいは買いオペ)を同時に行う公開市場操作によって、
資金供給量を一定に保ったまま長短金利をそれぞれ逆方向に導く金融政策の手法
です。1961年に米国で初めて導入され、直近では2011年9月にFRBが
FOMCで金融緩和策の強化のひとつとして採用した手法です。
市場が懸念するツイストオペとSLR規制の影響は
(ブルームバーグ): 米国債市場の波乱で期間が長めの利回りが急上昇したことを受け、
米連邦準備制度がイールドカーブの両端で金利をもっとコントロールできるよう、
ツイストオペの再開を検討するのではないかとの観測が台頭しつつある。
インフレ期待の高まりに大規模なポジション解消が加わり10年物米国債利回りは先週、
約1年ぶりに一時1.6%を上回った。
同時に、短期の金利が低くなり過ぎることも懸念されている。金融政策と財政出動、
米財務省短期証券(TB)の供給動向の変化でドル供給が潤沢となり、短期金融市場の
調達金利はゼロ前後で推移している。
イールドカーブの両端での現象は金融政策によるコントロールを脅かしかねず、金融当局に
よる次の一手がどうなるか探ろうとする動きが生じている。当局には超過準備への
付利(IOER)の調整によって短期金利をコントロールするなど、さまざまな政策手段がある。
しかし何人かのアナリストが推奨するのは、期間が長めの米国債の保有を増やすと同時に
TBの保有を減らすツイストオペの再開だ。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジスト、マーク・カバナ、 メガン・
スワイバー、オリビア・リマの3氏は顧客向けリポートで、「当局はイールドカーブの
短期側と長期側の両方で同時に、しかし異なる理由でコントロールを失っている」
と指摘し、ツイストオペは「一石三鳥になる」と論じた。
一石三鳥だとする理由は、短期金利を押し上げる一方で、長期金利を安定させるが、準備預金には
中立的な形で行われるため、補完的レバレッジ比率(SLR)規制に基づく銀行への資本増強の
圧力がその分だけ減じる点にある。市場の機能の問題に対処するため当初は月額800億ドル
(約8兆5500億円)相当のTBを売却し、米国債の購入は残存期間4年半以上のものに
集中する手法が考えられるとしている。
クレディ・スイス・グループのストラテジスト、ゾルタン・ポズサー氏も利回り安定化のための
ツイストオペ再開とSLRの明瞭化を推奨。SLRを巡る不確実性も最近の乱高下の一因だった
と指摘した。
(出典:ブルムバーグ)
レポ市場への影響は
昨晩、衝撃的な現象に直面しました。過去3日間のTreasurysの大規模な
空売りの結果、10年のレポレートは過去最高の-4%を記録しました。
さらに驚いたのは、実質的には、レポ市場の投資家が10年を空売りすることによって
お金を払っていることを意味しています。これは、投資家が米国債の売り持ちを
増やし、市場の緊張が高まっていることが背景と思われます。
レポ市場での国債の品不足を解消するためにFRBが10年債を供給したため、
レポ金利のマイナス幅はその後縮小しましたが、レポ金利は週初からマイナス圏に
ありました。前回マイナスを付けたのは昨年6月ですが、レポ金利がマイナスとなる場合は
通常、特定の担保証券への需要が増えたり、市場への供給が滞っている可能性がありますが
足元は10年債の品不足が原因であると指摘されています。
まとめ
米国の長期金利の上昇は、株式市場にも波及しはじめていますが
同時に金利体系にも影響を及ぼしています。昨日のパウエル議長に
市場が期待していたのは、目先のSLR規制再開の延長、そしてツイストオペ
の再開によって長期金利の安定をはかることを期待していましが、明確な
言及はありませんでした。同時に米国10年国債への空売りがすすむ
なか、レポ市場で、品不足となり、なんとレポレートはマイナス金利
となる異常な状況が起きています。今後の株式市場を含めた市場を占ううえで
これらの金利市場がどう落ち着きを取り戻すのかが重要であると
思われます。