TORF(東京ターム物リスクフリーレート)とは?円LIBOR代替金利指標となる?
LIBORが停止になるのか、あるいは停止が延期となるのか
これまで様々な情報がとびかってきましたが
監督当局の英金融行動監視機構(FCA)は3月、ドルLIBORの主要期間を除き、
円やユーロ建てなどは予定通り2021年末に公表を停止すると正式に発表
しました。
円LIBORについては、日銀が事務局を務め、金融機関や機関投資家、事業法人などが
参加する日本円金利指標に関する検討委員会が、代替金利指標の利用と選択を行うための
検討材料や推奨案などを提示しているようです。
円LIBOR代替金利候補は
検討委の移行計画では、円LIBORを参照する貸し出しと債券は6月末を
めどに新規取引を停止し、9月末までに取引の顕著な削減を図ることを明示しています。
これにより、7月以降、LIBOR参照の新規取引は行わないことになり
速やかに移行することが必要となっています。
代替金利指標で最も支持を集めるTORF(東京ターム物リスクフリーレート)の確定値公表が
4月下旬に始まったことで、無担保コール翌日物金利を複利計算した後決め複利、
TIBOR(東京銀行間取引金利)を合わせた3つの選択肢が全て利用可能となり
新規取引を後押しするための候補はすでにそろっているようです。
TORF(東京ターム物リスクフリーレート)とは
東京ターム物リスク・フリー・レート(TORF)は、株式会社QUICKベンチマークス(QBS)が
金融機関の信用リスクをほぼ含まない「無担保コール翌日物金利」を原資産とする
デリバティブ取引のデータから算出・公表するロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の
後継指標のひとつとなっています。TORFは、金融商品取引法が定める「特定金融指標」、
QBSは「特定金融指標算出者」に指定されることを目指しています。
QUICKはTORFの算出・公表を担うための新会社QBSを今年1月18日に設立し、
指標算出の透明性と運営の健全性を保ち、証券監督者国際機構(IOSCO)が定める
「金融指標に関する原則」を遵守するため、TORF確定値はQBSが算出・公表しています。
現状の移行状況は
現時点で移行対応が間に合わないと確実に見込まれるLIBOR参照の既存取引が
ないとの位置づけのようです。今後判明する可能性は認めながらも、日本は
米国や英国に比べてリテールや中小企業を対象としたLIBOR取引が少ないため、
英米に比べるとタフレガシーの範囲・種類は極めて限定的になる、との見方が
大勢のようです。
イギリスの当局であるFCAは、12月末の円LIBORの公表停止後も、22年末まで
の1年間に限りr疑似的なシンセティックLIBORの公表を検討しているようです。
これに対し金融庁と日銀は、同LIBORを参照した新規の契約や取引は行うべきでは
ないとの見解を表明しています。
まとめ
円に対するLIBOR廃止の対応は、すでに進んでいるようです。
基本的に移行対応を先送りすることは認められない、としたうえで
シンセティック円LIBORに安易に頼らない対応を進めることが
原則となっているようです。またLIBORの代替となる指標は
TORF(東京ターム物リスクフリーレート)が台頭しています。
これは、金融機関の信用リスクをほぼ含まない「無担保コール翌日物金利」
を原資産とする指標となっています。
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