
ナゴルノ紛争がトルコに及ぼす影響と2020年後半のトルコリラ円(TRYJPY)の予想は!?
トルコリラ円の史上最安値更新が続いています。
先週も最安値を更新し続け14日夜には13.23円、15日夜には13.21円と安値を切り下げています。
対ドルでのトルコリラは14日夕刻に7.95リラの最安値更新後も概ね7.90リラ台での推移が続いています。
トルコリラ最安値を更新している背景は?
トルコリラの下落背景は外貨準備不足を突かれてのリラ売りが
あります。コロナ不況と観光収入の激減及び経常収支悪化し続け
トルコの外貨準備不足が懸念されています。
10月15日に発表された週次の外貨準備高は10月9日時点で
411.2億ドルとなり10月2日時点の
414.1億ドルから減少しています。9月序盤には450億ドル台で
年初の800億ドル台からは半減に近い減少となっているのです。
またトルコ中銀による利上げにもかかわらず実質マイナス金利状態が
続いているのも、トルコ安を誘引している背景のひとつとなって
います。
それに加えて地政学的リスクとして東地中海ガス田探査による
ギリシャ・EUとの対立、そしてトルコ政府によるナゴルノ紛争への介
在による欧米及びロシアとの対立懸念が
トルコい対する懸念が強まっている背景です。
ナゴルノ紛争とトルコ安の関係は
ナゴルノ紛争とは、戦火が上がったアゼルバイジャンの
ナゴルノカラバフ地区はアルメニア系住民が多数で、
アルメニアへの編入を訴えています。民族対立から
両国が武力衝突した1990年代には、約3万人が
犠牲になりました。紛争は未解決で、現在は
アルメニアが実効支配しています。
今回の戦闘は9月27日に始まり、4百人以上が
犠牲となっています。ロシアの仲介で10日、
停戦合意しましたが、現在も戦闘が伝えられています。
そこで、トルコとの関係ですが、同じイスラム圏で
言語的にも近いアゼルバイジャンを支持しているのです。
キリスト教圏のアルメニアはトルコが軍事介入していると非難し、
欧米でも宗教を背景にしたトルコの覇権主義に懸念が広まって
おり、これがトルコにたいする懸念、そしてトルコ安にも
つながっているのです。
今後のトルコリラ円の注目材料と予想は
10月22日にはトルコ中銀の金融政策決定会合が控えて
います。前回の9月24日会合では市場の現状維持予想に
反して4会合ぶりに2%の利上げを決定して10.25%へ政策金利を
引き上げたため、市場は強気サプライズとなって一時期
トルコリラ円は、14.01円まで大幅上昇する
局面もありましが、9月27日に勃発したアゼルバイジャンと
アルメニアによる大規模な軍事衝突(ナゴルノ紛争)を
きっかけに急落しています。
(チャート:楽天証券)
結局中銀利上げ効果を一挙に解消してしまった格好となって
います。その後も紛争が長期化し、10月11日の停戦合意後も
衝突を繰り返していることでのリラ売りも継続しています。
次の決定会合では、トルコ中銀は2%の利上げ直後のために
追加利上げへ動かないだろうというのが市場のコンセンサス
となっていますが、リラ防衛のために動けばサプライズ的
な反応となることが考えられます。
まとめ
トルコリラの下落が止まらず、先週は最安値を更新して
いますが、やはりトルコの問題点は、外貨準備不足と
利上げをしても、歯止めがかからないトルコ安が言えます。
そしてこれにわをかけて、地政学リスク(ナゴルノ紛争)
が重石となっており、この下落の流れに歯止めがかからない
状況です。しかし、注目点としては、トルコ中銀の
金融政策で、次も利上げをすれば、これは市場に
対してサプライズとなります。世界的な低金利の
なかで、これだけの高金利はやはり魅力であり、
金利差のスワップだけで、少々トルコリラが下落しても
耐えられる金利差も一方であります。
そこに注目して、次のトルコ中銀の決定を
みたいと思います。