CoCo債券(偶発転換社債)とは?AT1債との違いとリスクは!
今年起こったスイスの銀行経営危機の時に
AT1債券というものが、改めて物議を醸し
たことは、記憶に新しいです。
今年クレディ・スイスのAT1債約2.2兆円が無価値となりました。
無価値になった背景としては、政府主導で買収する風評被害が
及ぶことをUBSの株主が納得しないということもあり、
クレディ・スイスのAT1債を保有する投資家にも責任を求めた
結果、無価値にする判断となりました。
しかし、今回の決定が異例と呼ばれている理由は、
クレディ・スイスの株式投資家にはUBSの株式を
一定程度割り当てることが決定したからです。
ここでCoCo債券という商品が話題なって
いましたが、これらの違いについて、
調べてみました。
CoCo債券(偶発転換社債)とは?
これは、Contingent Convertible Bondsの略称で
ある特定の条件を満たすと、株式に強制的に転換される、
あるいは元本を削減される性質を持った債券のことを
意味します。
「ある特定の条件」というのは、いわゆるトリガーとされ、
一般には「自己資本比率が一定水準以下に
下がったとき≒株価が非常に下がったとき」です。
そえは、往々にして企業の見通しが悪化したときですから、
本来比較的安全資産と思っていた債券という
カテゴリーが、リスク資産である株式に変わる
あるいは元本全額が返ってこない確率が上がる、
ということを意味することを認識しておく必要
があります。
これは、たとえその会社が経営破綻していなくても、
この、「トリガー」条件は満たされます。
まとめる、投資先の経営が危なくなればなるほど、
債券のカテゴリーから、普通株式のカテゴリーに
変わる可能性がある債券です。
このトリガーは多くの場合、「自己資本比率、より正確には
中核的自己資本(CET1)比率=5.125%」とされています。
一方、通常実際のCET1比率は10〜14%くらいはあり、
十分なバッファーを持って管理されているはずなので、
トリガーに抵触する確率自体は非常に低いと考えられています。
企業の負債の中で弁済順位が最も高いのはシニア債、そして
弁済順位が最も低いのは資本である株式です。バランスシート上、
株主から集めた資金は資本となります。そのため、
株式は本来、CoCo債よりも弁済順位が低いです。
参照:https://hedgefund-direct.co.jp/column/hedgefund/contingent-convertible-bonds/
AT1債券とは
調達される資金には事業に用いるために軌道的に調整される
資金調達部分と、(特に金融機関の場合)規制上常に取り置い
ておくべき資本部分に分けられます。
資金の性質が違う以上、調達コスト=投資家への利回りも違い、
そして資金の取り扱われ方も異なるわけで、
単に弁済順位の問題として考えるのはやや軽率であると言えます。
Tier1には、株式から調達された資本などが含まれ、Tier2には
劣後債などが含まれます。
そしてTier1とTier2の間の、
「その他のTier1」部分にCoCo債が当てはまります。「その他のTier1」、
つまり「Additional Tier1」を略して「AT1」と呼ばれているのです。
リーマンショック以降、金融機関の安全性を高めるために
この規制は強化されてきました。
その基準はいくつかあり、Tier1は「生きるための資本」、
Tier2 は「安全に破綻するための資本」と言われています。
バーゼル規制とは、銀行がリスクに対処するために必要な
最低限の資本を確保することを要求する国際的な基準です。
この規制により、銀行は潜在的なリスクに備えるために
自己資本と準備資産を持つ必要があります。
バーゼル規制と今回のAT1債の条項を詳しく見ると、株式よりも
AT1債の方が損失を被る可能性があります。
参照:https://money-bu-jpx.com/news/article044315/
債券とは、お金を貸して満期にはお金が返ってくるという
仕組みの商品ですが、CoCo債や劣後債に関しては、財務状態に
よって価値がなくなってしまう可能性があります。
まとめ
今回は、クレディスイスの経営危機の時に話題と
なったAT1債券とCoCo債券について調べました。
この二つの違いは、ふたつともAdditional Tier1
にカテゴリーされることで、大きな違いはない
ことがわかりました。
今回、普通株式よりもAT1債券が弁済が低かったという
衝撃的なことが起こりましたが、このケースでは
UBSとの間で株式交換が起きたことで、AT1債券は
弁済されなかった一方で、普通株式の所有者については
価値は下がったものの弁済されたという現象がおきました。
この例からもわかるとおり、CoCo債券(AT1債券)について
は、単に債券としてとらえない、劣後債券よりも弁済順位が
低いということを認識しておくことが重要のようです。
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