現在スティープ二ング化ポジション偏重のUSトレジャリーノート30年の危険な兆候とは!?
米国国債のイールドカーブが投機筋によって過去にないほどのポジションの
偏りを示しています。米国投資家が賭けているのは、イールドカーブの
スティープ化です。今までにないくらいにイールドカーブが急峻化する
ことにベットしている投機筋が多いのです。
すなわち30年先物のレバレッジと投機家のネットポジションの
下のチャートが示すように、トレーダーはこれまで以上に
ショートにしています。最新のCFTCのデータでは、ロングボンドと
ネットショートを合わせて62万契約以上のネットショートを
記録しています。
投機筋がスティープ二ングに賭けている理由は
その理由は簡単です。すんわち事実上誰もが財政刺激策の
洪水を期待しているからです。投資家は、今バイデンによって
大統領選で勝利することを見越して 、新しい財政刺激策で
7兆ドルの支出とそれにともない、10年国債の利回り
は急上昇するであろうと読んでます。
このように、見通しがあまりにも偏った形でベットされる
のは今年のこの現象が初めてではないですが、債券先物の
ショートポジションのレベルは驚異的となっています。
6月初旬にはウォール街のほとんどすべての人がイールドカーブの
スティープ二ングを予想しています。しかし6月には
その後6週間で5年債、30年債のスプレッドはフラット二ングした
経緯もあります。
あまりにも偏ったポジション二ングがリスクとなる?
しかし、秋からにイールドカーブのリスクは短期的なフラット化を示唆しています。
このポジションをトレーダーが11月3日以降まで持ちこたえられるかどうか
疑問であり、小さなきかっけであっても、すぐに雪崩を打って30年物利回りを
大幅に低下させる可能性があると指摘するアナリストもでてきています。
ブルームバーグのリチャード・ジョーンズ氏も同意見で、米国国債利回りのスプレッド
が最近急騰していることは、「実質的な財政刺激策が早ければ2020年第1四半期に
控えていることを考えれば、時期尚早のように見える」と本日の記事で述べています。
ジョーンズ氏が説明するように、9月下旬以降、2年10年は62bpsまで、5年30年は123bps
まで広がってます。これは、バイデン氏の勝利(および両院での勝利)の可能性が
高まってきたことから、ここ数週間でペースを上げています。そして、
上記で指摘したように、民主党は、特にパンデミックの影響を受けている状況では、
拡張的な財政政策に対してよりオープンになるだろうと市場は読んでいます。
しかし、ジョーンズ氏が警告によると、政府の大規模な支援策が成立するまでの
5~6ヶ月間かかり、またコロナウイルスは経済の逆風であり続ける可能性があります。
そして、アメリカの冬の真っ盛りの間に積極的な財政的衝動がなければ、
理論的には、パンデミックは6-7ヶ月前と同じくらい破壊的なものになる
可能性があります。
今後のリスクは
確かに、冬を前にしてコロナが大幅に復活する兆しはすでにでています。
最後に、みずほのピーター・チャットウェル氏は、大規模なフラット化が
予想されると警告するストラテジストと同様に、戦略的に推奨している米国の
イールドカーブスティープ化はあまりにも見通しが偏りすぎていると警告して
います。バイデン氏の勝利による、イールドカーブのスティープかすでに
一般的なナラティブになっており、すでに市場に織り込み済みとなって
いる可能性が高いと指摘しています。
まとめ
大統領選挙も終盤となり、トランプ大統領のコロナ感染など
波乱要因もありますが、市場の見方はバイデン勝利で
ほぼ固まってきているようです。
米国の財政支出による景気刺激は、民主党政権になっても
さらに加速するとの見方が一般的であり、その論点が
イールドカーブのスティープ二ング化に市場の見方が傾いて
いる背景です。しかし、短期的には、これからまだおきるコロナ
のパンデミックそして、それによるさらなる景気悪化という
要因を甘くみているふしもあります。その意味で、これだけ
ポジションが偏重している状況を考えても、リスクは、
ポジションのスクイーズ、すなわち、フラット二ング化の
リスクのほうが、短期的には高くなってきている気がします。