
S&P500利回りが米短期債利回りを下回ったことによる市場への影響は?
2008年6月以来初めて、S&p500配当金利回りは、
キャッシュのカテゴリー
である6ヶ月米国短期証券の利回りを下回りました。
S&P500利回りが短期証券利回りを下回る背景
米国短期証券は、何年もの間のゼロ金利時代が終わり、
再び魅力的になっています。先週フェデラルファンドレート
が上昇したことによって、さらにその魅力を強めています。
短期米国債券が、ダウンサイドリスクが限定的
ななかで、比較的魅力的な収入を提供する
とみている投資家が増えてきています。今や市場参加者は、
FRBが金利の正常化プランに入ったことにより確信をもって
いるいっぽうで、短期債利回りにすでに価格がすでに
次の利上げを織り込んでいます。
この状況は報酬対リスク観点からも、株式よりも
短期債のほうが魅力的になっています。
市場への影響はどうなる?
リスクフリーと認識されている投資は、ダウンサイドリスク
が限定されていることと、ポジティブなインフレ後の利回り
によって収益機会を与えていることを意味します。
その意味では、2年債利回りは今では、コアインフレレート
よりも上回っており、また金融危機以降失われていた、
短期債投資が、実行可能かつ安全な投資オプションで
あるという認識を復活させています。
そして財政赤字の急増による、米国短期証券の発行が
増加しているなどのテクニカル要因も、短期債利回りが
上昇する要因となっており、短期債により人気が集まる
要因になっているようです。
トランプ政策によ不安、すなわち財政赤字の拡大と
同時に、もろもろの不安定な貿易、外交政策によって
もたらされている、リスクアセット市場への不安は
株式市場を不安定化させ、一方で短期債には絶好の
投資機会を与えているようです。
株式などのリスクアセットに傾いていた資金が、ますます
キャッシュ化されていく傾向は、もっと強まると思います。
FRBが金利の正常化を急げば、急ぐほど、この傾向は
強くなり、為替市場においても、ドル円も、資金回帰
の影響から円高になりやすい傾向が続きそうです。