
PBOC(中国人民銀行)が預金準備率を引き下げたことで為替の予想は?
中国の中央銀行である中国人民銀行(PBOC)は昨日
市中銀行の預金準備率を1%引き下げると
発表しました。
そこでまずは預金準備率とはなにかを説明したい
と思います。
預金準備率とは?わかりやすく
銀行は利用客から預金を預かっていますが、実はその預金は
銀行の中にあるわけではなく他に貸し出したり、金融商品を
購入したりして同時に運用しているのです。
しかし、預金者が預金を引き出すことができるように
現金をリザーブしておかなければなりません。
それが預金準備ですが、当局はその最低限の率を
金融制作決定の事項としています。
それが預金準備率です。
預金の払い戻し用に運用せずに手元に置いておく金額の
パーセントが、法律で決まっています。それが預金準備率です。
インフレが進んでいるときは、運用に回るお金が過剰だということなので、
預金準備率を上げれば、運用に回るお金が減ってインフレが収まります。
一方で経済成長を支えるため、預金準備率を下げて流通する貨幣の量を
増やす政策をとるのです。
PBOCが預金準備率を下げた背景は
中国経済は減速傾向を強めています。
↓は中国の企業収益のグラフです。
企業収益はマイナスに陥り減速傾向が強まっています。
PBOCはウェブサイトで、預金準備率を15日に0.5ポイント、25日にさらに
0.5ポイント引き下げると明らかにしました。1-3月に返済期限を
迎える中期貸出制度の融資はロールオーバーせず、今回の措置で増加する流動性が春節
を前にした資金需要ひっ迫を相殺するだろうと説明しています。
人民銀の別の発表によると、この預金準備率引き下げにより正味で
約12兆5900億円の流動性が供給されるとしています。
中国の預金準備率に引き下げによる為替の予想は?
民銀が全銀行を対象に預金準備率を引き下げるのは2016年3月以来ですが
すでに一部の銀行に対しては、昨年1年間で預金準備率を4回引き下げて
います。
要するに、すでに中国は景気減速を意識していたと思われます。
最近では銀行に対して低利資金を供給するための対象を絞った
中期貸出制度も導入していました。
預金準備率引き下げの発表を受けて、オフショア人民元は下落しました。
一方でハンセン指数と日経平均の先物は上昇しました。
中国の緩和政策が続くことにより、人民元は下落傾向を強める
と思います。一方でドル円の予想は今後の世界の株価の動向に
影響を受けると思いますが、昨日パウエルFRB議長が利上げの見直し
示唆したことで株価が急反発、リスクオフによる円高もいったん収まって
います。
ただこれでここ最近の不安定な市場が収まったというのは時期尚早で
ドル円では110円台が抵抗線となる展開となり、ふたたび105台
を目指す展開を予想します。
まとめ
ここ最近の中国の経済指標は、PMIを筆頭に
景気の落ち込みが顕著になっていました。
今回の人民銀行は最近の経済環境悪化に対応しての
決定だと思われます。
中国の経済低迷が顕著になっており、PBOCは
今後も金融の緩和政策をとり続けることが予想されます。
昨日は、アメリカの雇用統計結果がとても好調で
また同時にパウエルFRB議長は、今後の利上げ政策を
見直すことを示唆しています。
ということは、世界的に金融政策の緩和傾向が今後も
続くと思われます。
今後の注目点では、この中央銀行の決定で株価が安定に
戻るかどうかです。
ここ最近の中国経済の脆弱さをみると、まだ今後不安定
な状況が続くと思われ、人民元安と円高傾向は続く
と思います。