
OAS金融(オプション・アジャステッド・スプレッド)とは?米国株式の動向との関係は?
OASという金融用語を聞いたことがあるでしょうか?
OASとはハイイールド債、すなわち投資適格債以下(ジャンクボンド)に
関わる用語の用語のひとつです。
コロナ以降、債券市場の混乱は、FRBの債券買取政策によって、ひとまずは
小休止しているようにも見えますが、実をいえば、3月以降
ハイイールド債市場は、壊れたままとなったいます。
その状況を示す一つの指標がOASですが、今回はOASと
米国株式市場の動向について調べてみました。
OASとはなに?
OASとはオプション・アジャステッド・スプレッドの略ですが
要は、ハイイールド債券の利回りと、基本的な金利の指標となり
米国債券の利回りの差を言います。
米国債券は信用のベースとなるものであると前提として、
ハイイールド債の利回りはこれにどれだけスプレッドが
加わっているのか。すなわち、信用市場の状況を示す指標
とも言えます。
ポストコロナ現状の米国株式市場の動向は
ハイイールド社債の動向が、コロナ・ウィルス拡散による
弱気相場の終焉を的確に示唆するとするならば、現時点では、
3月末までに下げた弱気相場が、完全に底打ちしたとは言い難い
とみている、アナリストが多いようです。
株式市場が弱気相場入りしたとの判断するのは、高値から20%下げた
段階で、米株はこのたびのコロナパンデミックによって、ベア相場
に転換しました。そして3月安値からは、ザラ場ベースでは30%強も
反転しています。この株式相場の動きによって、少なくとも株価は
底入れしたのではないか?また景気のV字型回復期待まで出ているのが現状
です。
OASの動向と米株式市場の関連性は
1997年以降の相場では、ハイイールド債の動向こそが、株式の底値を
示す最良の指標となっていました。
特に、ハイイールド債と米国債券とのスプレッド(OAS)に注目されて
きました。
今回のコロナ以降の相場では、クレジット・スプレッドは、弱気相場の
底打ちを示していません。過去6〜7週間、S&P500指数は、安値から
34%上昇していますが、クレジット・スプレッドは19.4ppから17.6ppに
縮小したに過ぎません。しかもFRBがIG以下のジャンク債への介入を
打ち出していこうから、あまりこのOASの動きは改善されていないのです。
弱気相場が終盤に近づけば、スプレッドも極端に縮小に向かうというのが
過去の関連性でした。2008年の世界金融危機の終盤では、スプレッドは
10PPを超えて縮小する動きがみられています。
このスプレッド縮小は、2002年と2016年にもありましたが、現在の格付けトリプルC、
あるいはそれ以下の格付け社債、いわゆるジャンク債動向には、強気相場に
転換したとの兆候が見られていないのです。
まとめ
いわば歴史的な実験をしていると言ってもいいほどの
FRBによる未曾有の資金供給と緩和政策は、信用市場にも
テコ入れをして、クレジットのマネタイズ化がすすんでいる
ようです。これは、最終的には債券と通貨安圧力にかかわる
もので、今後株式市場がどのような状況になるのかは、いわば
過去の恐慌時の時以来の実験となるような気がします。