
NPV(正味現在価値)」「IRR(内部収益率)」「DCF法(割引キャッシュフロー法)」の違いは!
NPV(正味現在価値)」「IRR(内部収益率)」「DCF法(割引キャッシュフロー法)」は、
いずれも投資判断や企業価値評価に用いられる時間価値を考慮した評価手法ですが、
それぞれ役割や焦点が少し異なります。

DCF法、NPV、IRRの違いは
DCF法(割引キャッシュフロー法) 将来のキャッシュフローを
現在価値に割り引いて、事業や資産の価値を求める手法 企業価値評価、
投資判断 手法そのものです。
NPV(正味現在価値) DCF法で算出される「価値」そのもの。
投資額と現在価値の差。 投資の採否判断 プラスかマイナスか(=儲かるか)
IRR(内部収益率) NPVがゼロになる割引率 投資の利回り評価 投資の
「利回り」を示す指標
DCF法は「方法」、NPVは「DCFで出てきた金額」、
IRRは「その計算に使う割引率の目安」と整理できます。
具体例:あるプロジェクトへの投資判断
初期投資:100万円(Year 0)
将来キャッシュフロー:
Year 1:30万円
Year 2:40万円
Year 3:50万円
割引率(資本コスト):10%
① DCF法:割引キャッシュフローを計算する
各年のキャッシュフローを10%で現在価値に割り引きます:
年度 キャッシュフロー 割引現在価値
0 -1,000,000円 -1,000,000円
1 300,000円 300,000 ÷ (1+0.1)^1 = 272,727円
2 400,000円 400,000 ÷ (1+0.1)^2 = 330,578円
3 500,000円 500,000 ÷ (1+0.1)^3 = 375,657円
合計現在価値:978,962円
初期投資:1,000,000円
② NPV:正味現在価値
NPV = 978,962円(割引現在価値の合計) – 1,000,000円(投資)
= -21,038円
NPVがマイナス → この投資は損になると判断。
IRR:NPVが0になる割引率を求める
このプロジェクトの**IRR(内部収益率)は約9.3%**になります。
IRR(9.3%)<割引率(10%) → 資本コストを下回るので投資判断としては
NGとなります。
NPVとIRRとは!
NPV(正味現在価値)やIRR(内部利益率)は、ある事業に対する
投資を事前に判断する際に利用する指標です。資本コストを用いて
将来のキャッシュフローを現在価値に割り戻す方法であるDCF法を
用いて計算します。キャッシュフローを用いていることから、会計基準に
左右されずに投資価値の判断ができることと、DCFを用いるため時間の概念
が取り込まれていることなどが特徴です。DCFでは5年後に得ることが
できる100万円と10年後に得ることができる100万円ではその現在価値が異なります。
計算方法と特徴
NPVとは、特定期間のDCFの総和から投資額を差し引いた金額を指します。
NPVがプラスであれば投資価値があると判断されます。
IRRとは、NPVがゼロになる際の割引率を指します。IRRが資本コストより
大きければ投資価値があると判断できます。
一般的に、資金の制限が少なく、単一のプロジェクトを評価する場合は、
金額を評価することができるNPVを用います。一方、限られた資金を複数の
事業に分配することを考える場合は、効率性を評価することができるIRRで判断します。
日本でNPV、IRRは普及途上
米国ではすでにNPVやIRRが投資の意思決定ツールとして広く利用されていますが、
日本ではまだまだ簡便な回収期間法が利用されており、NPVやIRRなどの
ツールの利用は限定的です。
ただし、日本企業でも、多角化企業や複数の候補から投資判断を行う必要がある
新規事業開拓などでは、投資案件の決定などの判断に利用されるケースが多いようです。
近年、企業価値の向上が叫ばれていますが、資本コストを超過するキャッシュフローを
上げてこそ、企業価値を高めているといえます。日本企業は企業価値向上のために
より多くの案件に対してNPVやIRRを活用する必要があると考えられます。
参照:NRI
まとめ
状況 使うべき指標 理由
投資の採否判断をしたい NPV 「プラスなら実行、マイナスなら却下」とシンプル
投資の利回りを比較したい IRR 他の案件との比較や、利回り基準と照らして判断
企業全体の価値を評価したい DCF法(全体) 将来キャッシュフローから会社
の現在価値を計算です。
DCF法はキャッシュフローを割引して価値を出す方法
NPVはDCFで出てきた価値−投資額(=儲かるかどうか)
IRRはNPVが0になる割引率(=利回り)
端的、わかりやすくいえば、これらが違いとなります。
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