MLF金利引き上げでいよいよ中国も引き締め局面に入った?今年は世界的に金利上昇方向へ?
中国人民銀行は2先週、市場の流動性調節手段の一つである
中期貸出制度(MLF)の金利を引き上げました。
一部ではこの動きを事実上の利上げと受け止めています。
中国が最後に利上げしたのは2011年です。
中国が先週、金融機関に対する主要貸出金利を引き上げたことを受け、
中国の国債利回りが急伸しています。
指標となる10年物国債利回りは25日、前日の3.296%から3.336%に
上昇し、12月半ばにつけた直近の高水準である3.387%に近づいています。
急拡大している資産バブル
中国では多くの投資家は安く調達した資金で債券などの金融商品を買い入れ、
それを担保にさらに投資を拡大してきました。こうした借り入れの大半は
バランスシートに載らない形で行われたため、規制当局の目の
届かないところでレバレッジや金融リスクが膨らんでいます。
中国国内でこうした緩やかな引き締めが進む一方でFRB
が利上げしたことで、デフォルト(債務不履行)懸念が
広がった影響で、12月半ばに中国本土の債券市場は大きく
売り込まれました。昨年12月15日、債券売りの急増に伴い10年物
と5年物の国債先物価格がそれぞれ2%、1.2%下落すると、
中国当局は史上初めて一部の国債先物取引を停止しました。
中国当局引き締め政策に方針転換?
MLF金利の6カ月物金利と1年物金利をそれぞれ2.95%、3.1%へ0.1%
ずつ引き上げるという人民銀行の決定は、驚くほど劇的なものでも
ないですが、重要なのは、当局の引き締め
姿勢が当面は変わらないことが確認されたことです。
中国債券市場は一時的に大荒れとなったものの、同市場の長期見通し
が明るいことを示す兆候は幾つかあるようです。
中国債券市場の好材料の出現
ブルームバーグは25日、中国本土市場で取引されている国債と
政策銀行債券などに連動する二つの新しいインデックスを
3月1日付で導入すると発表しています。
こうした動きを受け、JPモルガン新興国市場国債インデックスなど、
ベンチマークとして広く使われているその他の国際的な債券相場の
インデックスの間でも、中国国債を組み込む動きが加速するかも
しれず、中国本土の債券市場への海外投資家の参入に拍車が掛かる
可能性もあります。本土市場で発行された債券の海外投資家
による保有率は現在のところ2%にすぎません。
中国が一部のインデックスに組み込まれれば、中国市場には
今後5年間で海外から7000億〜8000億ドルの投資資金が
流れ込む可能性があるります。
世界的に金利は上昇方向?
今週FOMCが予定されていますが、アメリカの利上げは今年
3回あると予想されています。
またECBでも現在の量的緩和プログラムの終焉を模索する
話もちらほら出てきており、日銀でもイールドカーブが
立たせる複雑な金融政策に陥っています。
いずれにしても、トランプ大統領がリフレーションを
誘導する政策がとられると予想されるなか、世界の金利
と、また一方で為替の強制的な介入も視野にいれた
リスクのとりかたが必要となってきているようです。