
JCPOAイラン核合意の廃棄をトランプが決断したことによる市場への影響は
トランプ大統領は、2015年のイランへの制裁措置緩和と
引き換えに合意した核計画縮小から、米国が撤退すること
を発表しました。
これは、トランプの大統領選の最も決定的な決定の1つになる
可能性が高いと思われます。
JCPOA核合意廃棄がもたらす影響とは
これによってイランが核計画を強化し、
軍事対立の可能性を高める可能性があります。
また、イランにとっても世界石油取引にも大きな経済的影響を
及ぼし、主要な欧州同盟国と米国の間での関係にも影響を与える
可能性があります。
イランはイランで核合意に今まで遵守してきたことを主張し、
米国がこの合意に違反した当事者と主張し、JCPOAの合同委員会に
その問題を付託する可能性があります。
イランはどう反応してくるのか?
イランのハッサン・ルハニ大統領は、イランが欧州に
よって経済的「利益が保証されている」限りこの核合意に
留まるであろうとの意向を示しています。しかしイラン
との交渉に参加した制裁についての専門家では、「欧州が米国の
制裁の結果として、処罰される欧州の企業にたいして、欧州政府が
基本的に補償を与えることを望んでいないなかで、欧州がイランに
対して今までと同様の救済措置を与えることができるのか疑問が
残る、と指摘しています。
イランは中途半端なステップ踏み出すことができ、核廃棄合意に完全に
従うことも、核兵器に向かって邁進していくことも言及しない
可能性があります。例えば、イランは核活動を強化することが
できます。それでも国際的な反発を引き起こさない程度に
密かに核開発を進めていくことができます。
そして、極端なステップとしては、イランは核拡散防止条約を廃止し、
国際的な査察も排除する可能性もあります。イランの「核開始可能までの時
間」は、爆弾のためのスプリントを作れば約1年と見積もられて
います。
イランのロハニ大統領は、はこれによって潜在的に挫折していくだろう
との見方が大きくなっています。ロハニ大統領は米国との合意を得る
ことで非常に大きな躍進をした大統領です。イランに圧力がかかる中で、
イランの経済は景気後退に陥る可能性が高くなっています。
ヨーロッパにかかる影響は?
イランで事業を行っている企業や銀行は、
米国の二次制裁を受ける可能性があり、罰金を避けるために
取引を変える必要がある可能性があります。
フランス、ドイツ、英国は1990年代からいわゆる
ブロッキング規制を復活させることで、米国の制裁措置から
企業を守ることができますが、これは積極的な動きと見なされ、
大西洋地域でのイランによる分断をさらに深刻化させる
可能性があります。
逆にヨーロッパは、トランプと同様にイラン合意を取りやめ、
制裁を求める可能性もあります。欧州はそれについては否定して
いますが、核合意が崩壊し、イランが核計画を打ち立てると、
時間が経つにつれて起こる可能性があります。
市場に与える長期的な影響は?
2012年に初めて制定された制裁の時ほどではないですが、
これは世界的な石油市場に影響を与える可能性があると
思います。制裁の実行には6ヶ月間かかり、中国やその他の
アジア諸国は、イランから油を買い続けるのでしばらくの
間は影響はそれほどないと思います。
イランが再び核増強を始めるならば、米国は監視を追加せずに
この制裁プログラムを続行するか、あるいは軍事行動をとる
可能性があります。
ヨーロッパは、米国を孤立させずに意見の相違を表明するつもり
ですが、これはトランプの貿易問題に続く米国とヨーロッパの間の
大きな亀裂となる可能性があります。
まとめ
トランプのこの決断によって、短期的には市場への影響は
ないと思いますが、中期的には、イランとヨーロッパの
企業がダメージをうけ、政治的にもアメリカとの間で
亀裂がさらに深まる可能性があります。
為替市場については、ユーロは、この材料によって
中期的には売り圧力が強まると思います。