ドイツ銀行が為替のドル安戦略を大統領選挙後に諦めた理由とは!
大注目の米国大統領選挙の投票が終わりました。
この結果で、サプライズだったのが、やはりトランプ大統領
の巻き返しの凄さと、予想以上の接戦になったことです。
とくに、トランプ大統領がフロリダを獲得した段階で
このような混沌とした状況となることは、避けられない
というのが、市場のコンセンサスとなりつつあります。
そんななか、ドイツ銀行の為替ストラテジストが
ドル安戦略を諦めたとのレポートがあり、興味深いので
その理由について調べてみたいと思います。
大統領選結果によるドル安戦略変更の理由とは
ドイツ銀行のFXストラテジストは、ブルーウェーブへの期待に基づいた
2か月間のドル安にベットしたコールオプションを諦めたとの報道が
ありました。「米国の選挙結果が極めて不透明な中で」、3つの理由により、
年末までのドル安というシナリオはもはや見られないとして、見方を変更し、
中立に転じると述べた。
ドイツ銀行のFXストラテジストはその理由を以下に列挙しています。
第一に、誰がホワイトハウスに勝利しても、米国の財政政策が緩和的な方向に
構造的にシフトする可能性が劇的に低下していること。民主党が上院で
敗北し(そのリスクは高いと思われる)、議会での統一が不可能になれば、
大規模な財政拡大の合意が難しくなるとの見方です。双子の赤字拡大と
米国のイールドカーブのリフレ的なスティープ化がドル安の見方の重要な
推進力となっていまいしたが、これは、この選挙結果をうけて、一旦保留
されました。
第二に、選挙結果が長期化するリスクが大きいことです。市場が最も懸念しているのは、
譲歩拒否に関連した政治的な不確実性よりも、得票についての不確実性です。
現時点では、多くの主要州の得票差は非常に僅差であり、(ジョージア州、ネバダ州、ウィスコンシン州)、
または不確実性が高い(ペンシルバニア州、ミシガン州)などが、再集計や訴訟の
長期化のリスクがあります。これは12月まで続く可能性があります。
第三に、選挙の結果もさることながら、コロナの冬の波は、想定しているよりも
早く、大きなる兆候がでています。欧州はすでに「ソフト」ロックダウン状態にあり、
米国の感染者数はさらに悪化する可能性が高い。選挙の不確実性が長引くことで、
コロナの封じ込め策の政治化が進み、それに伴う財政支援ができなくなるという
大きなリスクがあります。
大統領選挙後の注目点は
ドイツ銀行のFXストラテジストは、リスクを「コロナ状況の悪化、財政支援の不在、
制度的な不確実性の持続、今後数週間の米国におけるより広範な経済ファンダメンタルズ
の悪化」が主な注目点となるとみています。
通常、このような環境はその国の通貨は安くなるのが一般的ですが、
ドルは安全な避難先として、またリスクオフ時の資産として買われる
傾向があります。過去6カ月間、株式が上昇し、イールドカーブが
リフレの見通しから、急激に立ってきた状況からドルが弱くなって
きましたが、ドイツ銀行によれば、デフレとリスク回避は、たとえ米国に
端を発していたとしても、ドルがプラスになる可能性があるとみているようです。
まとめ
全体として、ドイツ銀行の為替ストラテジストは、ドルをショートするメリットが
選挙後薄れてきたと考えており、特に新興国の為替に対しては、ドル安戦略
のメリットがなくなったとみているようです。
一方で、日本円か金のような、不確実性の高い環境のなかで上昇する資産については
ドル安は恩恵を受ける可能性が引き続きあるとしています。
大統領選挙が終わった直後のドルの動きに、ドルが上昇する傾向はまだ現れて
きていませんが、年末にかけて、混沌していくなかで、ドルがどのように
動くか注目していきたいと思います。