FRBバランスシートの縮小とは?その影響と方向について
今年のFRBの大きなテーマとして、巨大に膨らんだ
FRBのバランスシート縮小があげられます。
FRBは、バランスシートの縮小計画について詳細の
詰めを急いでるようです。
バランスシート縮小の理由は?
FRBがバランスシートの圧縮に着手しようとしているの
には幾つかの理由があります。まず、米国経済が堅調さ
を増し、巨額の債券買い入れを続ける必要性が薄れてる
ことです。また、膨らんだバランスシートは議会で批判
の対象となり、政治的な問題となっています。
当局者らは再び危機が起きた際、必要に応じて
バランスシートを再び拡大する選択肢が広がるからです。
FRBのバランスシート縮小とは?
当局者らは、今後も政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利
を金融政策運営の主なツールにしたいと考えています。
つまり、バランスシートの縮小を始める場合は、市場にほとんど
影響を与えることなく実施したいと考えているようです。
もし米国経済がFRBの予想通りに推移すれば、FRBは
保有する米国債と住宅ローン担保証券(MBS)が今年後半
や来年前半に満期を迎えた時点で、元本を再投資せず
に済むようにします。
どのように縮小するのか
FRBが解決しようとしている問題の1つは、最終的に
バランスシートをどの程度まで縮小すべきかということ
です。長期金利の引き下げと景気てこ入れを目的とした
資産購入プログラムによって、FRBのバランスシートは
08年の金融危機前の9000億ドル弱から4兆5000億ドルに
膨らんでいます。
FRBはすでに長期債の保有量を減らしているため、FRB
のポートフォリオは以前ほどの景気刺激効果はなくなって
います。とりわけリスクが高い資産である長期債の購入は
経済を刺激する効果がありますが、こうした高リスク資産の
供給抑制は、投資家を別の高リスク資産に向かわせて
株式や社債の価格を押し上げる効果があります。
当局者らは3月のFOMCで、米国債とMBSの保有量を
同時に減らしていくことを確認しています。FRBは償還元本の
再投資を徐々にやめる、あるいは即座にやめる可能性がありますが、
後者は市場と対話しやすくなるものの、ボラティリティーを
押し上げかねません。FRBが保有する米国債の大部分は18年
と19年に満期を迎える予定のようです。
縮小幅は限定される?
今は、FRBの巨大な証券ポートフォリオによって銀行
システムには準備金があふれており、FRBは準備に利息
を支払うことで金利を管理しています。
当局者らはこれまでにバランスシートの正常化では、
米国債はほぼ全て保有し続けたい意向を示していますがFRBが
保有するMBSの償還期間は米国債より長いため、バランスシート
が安定したら、保有資産に占めるMBSの割合が大幅に
上昇する可能性があります。このためFRBは今後、おそらく
満期を迎えるMBSの償還元本を米国債に再投資して、
ポートフォリオの構成を変える可能性があります。