FRBのCPFF導入とFRA/OISスプレッド縮小でドル円はどうなる?
CPFFという言葉をご存じでしょうか。
CPFFとは、Commercial Paper Funding Facility の略です。
CPFFとは、FRBがコマーシャルペーパーを買い取る
プログラムですが、米連邦準備制度理事会(FRB)は
コマーシャルペーパー市場を通じた米企業の借り入れを支援するため、
金融危機時に導入したプログラムを復活させました。
それがこのCPFFですが、CPFFがもたらすFRA/OISへの
影響とマーケットに及ぼす影響について調べてみました。
CPFFとは?そのしくみは
FRBは財務長官の承認の下、CP資金調達ファシリティー(CPFF)
を設立するとアナウンスしました。財務省は為替安定化基金(ESF)
を用いて、100億ドルの信用保証を提供します。
CPFFで短期の信用を供与し、この困難な時期における米企業の
財務管理を支援することを目的としています。
FRBは特別目的会社(SPV)に資金を提供し、そのSPVが
「A1/P1」格付けのCPを対象企業から購入する仕組みとなります。
CPFFがFRA/OISに及ぼした影響は
今回の新型コロナウィルスの激震で、金融市場の信用市場にまで
影響を及ぼす事態に発展しそうになっていました。
その兆候となるは、FRAとOISのスプレッドです。
FRAとは金利先渡し取引のことですが、銀行間取引レートの
代表であるLibor を対象としている金利先渡し取引です。
一方OISは翌日物金利取引と金利スワップの交換です。
Overnight Index Swapのことで、オーバーナイトとは
最もリスクフリーなマネー取引の代表となります。
このOISには2年までの期間の取引が立っていますが、OISは
中央銀行の政策金利の動向を最も表わす取引となります。
ということはFRA/OISのスプレッドというのは、銀行間取引である
Liborの指標とリスクフリーと言われる翌日物マネー取引との
間での乖離幅ということになり、銀行間取引Libor に対する
リスク幅が上乗せされていることを意味します。
FRA/OISの幅が広くなるということは、別の言葉言い換えれば
銀行間のマネー取引にスプレッドが乗っていることになり
金融市場の不安定さを意味するものでもあります。
その動きを示しているのが↓のグラフです。
こちらのグラフは、新型コロナウィルスによって金融市場にも
不安が拡大していくなか、スプレッドが上昇していって
いましたが、今回のFRBによるCPFFが発表されたことにより
一気にスプレッドが縮小しています。
FRA/OISのスプレッド縮小による影響は
今回の株価の暴落を発端にして、金融市場に襲い掛かって
いた不安は金利市場に及んでいました。
ドルの需要が著しく上昇し、ベーシススワップは急落、
そして、国債でも現物と先物との間で理論的に考えられない
スプレッドが発生しました。いわゆるCashとFutureとの間
でのギャップですが、現物のキャッシュ化がすすみ、
いわゆるトリプル安の様相を呈しています。
ドル円への影響は
ここのところのドル円は不可解な動きをしています。
当初はリスクオフを反映して、いわゆる円高に振れて
いたのですが、ここにきて大きな円安モードへと
シフトしています。いわゆる世界的なドル高基調に
シフトしてきているのです。
チャート:楽天証券より
いわゆる円については全面安の展開になりつつあります。
株安、円安、国債安です。
世界的に量的緩和を積極的にシフトし、この難局を乗り切ろう
としていますが、国債市場自体はネガティブに反応している
ようです。
まとめ
今回のFRBによるCPFFは、あのリーマンの危機以来の対応
ですが、市場は好感して受け止めています。その証拠に
FRA/OISのスプレッドは急激に縮小しています。しかしながら
このトリプル安の動き自体の流れはいまだ止まっておらず
ドル円に関しては円安傾向に拍車がかかっています。
ドル円は108円台はテクニカル上抵抗線となる思いますが
この水準を抜けてくると110台にむけて加速するのでは
ないかと個人的には思います。今回の新型コロナウィルス危機
がもたらしている金融市場は、今まで経験しなかったことが
起こる可能性も否定できないと思います。