FRBのコロナ対策4兆ドル新規債務発行は実質国有化?日銀との違いとドル円予想は!
新型コロナによる100年に一度とも言われる経済危機に
直面しているなか、昨日日銀はさらなる金融緩和策を
発表しました。
それに対して、FRBは政策金利をゼロ%にして、国債買い入れを無制限に
しました。
FRBは、米連邦公開市場委員会(FOMC)の日程には関係なく、
次々に緩和措置を打ち出し、4月9日のFRBの緊急資金供給では
最大2.3兆ドルもの拡大を表明してきました。
この対策は、4月中旬にかけて米株価の一段の上昇を促し、有効だったとみられ
ています。
そしてこのFRBの政策パッケージの中には、一部のジャンク債まで購入するという内容が
含まれていました。これはタブーに触れたと思われるかもしれませんが
もともと不健全な企業にファイナンスをするのではなく、コロナ感染の拡大のせいで、
投資不適格になった社債を購入することで、信用不安に歯止めをかけることを
目的とした対応策として注目を浴びています。要するに米国は信用面での緩和を狙った
思い切ったリスクテイクをしたことになります。
米国の追加経済パッケージとは
米国議会は追加で4840億ドルの追加経済対策を発表しています。その結果として
FRBは3.5兆ドルから4.0兆ドルの調達が必要となると試算されて
います。そしてさらに5500億ドルの経済対策が地方自治体救済のために
必要となるであろうと試算されています。全体としては、2020年に
総額で3.8兆ドルから4.0兆ドルの新規調達が必要となるようです。
ここで懸念となるのは、日本がそうであったように、いったんヘリコプター
マネーに突入すると抜け出せなくなることです。そして、調達手段となる
債券はトレジャリー・ビルである、その額は2.1兆ドルになる公算
です。
そして毎月の入札は120億ドルから150億ドルと長期債では50億から80億ドル
の入札が予定されています。
日銀金融政策をFRBと比較すると
FRBに比べると、日銀の追加緩和はまだ穏当にみえます。日銀ができることは、
すでに限界が来ているという見方が大勢です。黒田東彦総裁も「中央銀行として
できることは何でもやる」と語っていますが、この言葉のポイントは「中央銀行として」
という範囲にとどまっていることです。
現下の景気局面では、そもそも中央銀行のできることは限られています。財政政策も
同じで、感染リスクが強いときには、どんな経済刺激も効かないことになります。
公共事業にしても、人との接触を減らそうとしている中で
現場が止まっていて、総需要拡大に向けて身動きができないことになります。そうしたジレンマが、
今回のコロナ感染は景気刺激を束縛しています。
日銀に求められていることは
企業の資金繰り支援を専ら公的金融機関だけに任せておいては、この危機を
脱することはできないです。
政府は、民間銀行に対して、信用保証付きで利子補給するかたちで、無利子融資を
促進してもらう働きかけを行っています。日銀に対しては、そうした信用補完の上での
工夫をこらし、もっと踏み込むことが、今回の危機脱出には必要のように感じます。
中央銀行のメッセージは、単に株式市場へのアピールという意味合いではなく、
実体経済に有効であるため、だから株価がそれに反応するという政策パスを持つ
ことが重要だと思います。
ドル円の予想は
ここのところのドル円の動きは上下とも限られています。
FRBのバランスシートが日銀を超えてくることが予想されて
いますが、だからといってドル安になるのではなく、逆に日本の
政策の手詰まりを表しているようにも見えます。
日本はすでにヘリコプターマネー的な量的緩和を実施していますが
この危機に直面して更に踏み込んだ緩和が必要となります。
それは、完全な信用緩和で、企業だけでなく個人に向けての
信用緩和を思い切ってする必要があります。これは中央銀行として
はタブーなのかもしれませんが、日本はすでにそのステージ
にはいっているのかもしれません。
↓のドル円は膠着状態ですが、このレンジの後どちらに振れるのか
と予想すると、やはりドル高円安に中長期的には振れるのはないか
と思います。
まとめ
コロナ感染は、景気サイクルなどを超えた未曾有の危機ですが
その対応は、FRBが迅速かつ大胆であることは明らかです。
中央銀行のバランシートは拡大に向けて、今後どのようなステージ
にあるのか、未開のテリトリーに入るのかもしれませんが、日本
の場合はすでに政策余地が限られていることもあり、今後は新たな
実験となるヘリコプターマネー的な政策は、日本に差し迫って
いるのではないかと想像します。その意味でもドル円の中長期的予想
はドル高円安の方向ではないかと予想します。