ECBドラギ総裁の緊縮財政からの政策転換示唆
ドラギECB総裁が改めてユーロ圏での緊縮財政からの
方針転換の重要性を示唆しました。
ユーロ圏では財政規律を守ることを第一義的としていたこと
から景気回復を需要視した積極財政への方向転換への重要性
を主張したものです。
この発言はジャクソンホールでの講演で述べたものですが、
ユーロ圏でのデフレスパイラルが止まらない状況を反映した
発言です。
今までのECB高官は、財政規律の重要性と財政赤字を減らすことを
景気停滞局面でも主張してきました。
今回のドラギ総裁の講演での発言は、財政規律を放棄し赤字の
垂れ流しの容認しているものではないですが、こうした公の場
で財政拡大の重要性を説くのは、歴代のECB総裁で始めであり
ます。
ユーロ圏の物価上昇率が0.4%とターゲットの2.0%から大きく乖離
し、また一番重要な労働市場は失業率が11%を上回るというスタグフレーション
の状況に陥っています。こうしたスパイラル状況を打破するのは容易では
なく、緊縮財政と労働改革を同時並行に行うことは、結局のところ
緩和政策の効果が中途半端になるという危機感からきていると思われます。
このドラギ総裁の発言は、とくにユーロ圏の財政規律を重んじているいる
ドイツにむけてのメッセージのように受け止められます。