ECBのTLTRO(ターゲットLTRO)とはなに?今後のユーロ安予想は?
ECBが金融危機以来の重要な発表を行いました。
ECBが、ようやく長期資金供給オペの再開を発表したのです。
ここで発表されたのがターゲットLTROと言われる金融
オペレーションです。
そこで今回はTLTROについて、紹介し、それがもたらす
ユーロ相場の影響について語ってみたいと思います。
TLTROとはなに?
ECBは7日、ターゲットLTRO(TLTRO、対象を絞った
長期資金供給オペ)の第3弾を発表しました。
これは、企業や世帯に融資するユーロ圏の銀行を対象に、
期間2年の低利融資を提供するオペレーションのこと
です。このオペレーションが重要なことはTLTROのテクニカル
的な側面だけでなく、ECBが新た追加緩和政策をとった
という政策チェンジの重要性です。
流動性となると、ECBは資金を銀行に供給することはできても
実際に企業や個人に資金が行き届くことは難し状況が
続いていました。2008年の金融危機後にECBは3兆ユーロ
を銀行に注入しましたが、融資が急増することは
ありませんでした。
このプログラムの主な利点は、銀行が金融当局自体から
課されている規制を迂回できることです。
そのためTLTROは、株式市場で恐ろしい体験をした
欧州銀行業界には、規模こそ小さいものの歓迎される
オペレーションとなるのです。
なぜターゲットLTROは機能しないのか?
銀行の融資判断の決め手はどれだけの資金が利用できるかでなく、
借り手の信頼性です。銀行は資金を貸し出すと、預金を
作り出すことができ、いつでも銀行間の短期金融市場を
利用できます。現在のマネーマケットは結局は中銀が
さまざまなオペによって支えています。
こうした訳で、TLTROに膨大な需要が集まったことは
今まであまりありませんでした。
ドラギECB総裁は7日「何の補助もなければ、誰も
TLTROを利用しないだろう」と語っています。
ターゲットLTROによって受ける影響は
ECBは、金利を従来の想定より長く、現行の歴史的な
低水準に据え置く意向も示唆しました。
ということは、貸し手に水を差す動きとなります。
先日の株式市場でユーロ圏の銀行株は約4%下落しました。
しかし、ユーロ圏経済の鈍化で、今年は金利が上がらないことを
市場関係者はすでに認識済みであったと思います。
TLTROはとにかく、銀行にとっては都合のいい資金供給と
なります。なぜならば、銀行は長期間のファンディングを
中央銀行によってあてにすることができるからです。
まとめ〜今後ユーロ安に転じる?
為替ユーロにとってのこの政策は短期的には
ネガティブの要因となります。
中央銀行が実質長期間の金融緩和を示唆したことで
ユーロ金利はさらに下がりやすくなります。
昨年の今頃は、ユーロの量的緩和も今年をもって
終了にもっていくのではないか憶測がひろがって
いましたが、実際のところは、新たな金融緩和
が始まるということになったのです。
このことは為替ユーロにとってはネガティブファクターで
金融緩和が継続することがコミットされている
状態であれば、資金が高金利や株式に向かうリスクオン的
な市場になることが考えられます。
その時のユーロや円というのは、低金利のためファイナンス
通貨として使われ、ユーロ安、円安になりやすい地合いに
なると思われます。