EBAのエンリア議長は28日、イベントで、「現在のプロセスが

十分に迅速と言えないのであれば、当局は公的支援がこれを

加速させる要因となり得るかを検討すべきだろう」とある意味

公的資金注入を示唆しました。

欧州では目下、投資家の間でイタリアとドイツを中心とする

大手銀行の健全性を巡り懸念が高まっています。金融危機後には

ベイルアウトを制限する厳格なルールが定められたにもかかわらず、

公的支援が何らかの役割を果たす可能性に関し憶測が広がって

います。ドイツ銀行の株価が急落していると一方でイタリアの

バンカ・モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナは公的資金に

頼らない資本再編計画の遂行に苦戦している。

公的資金注入しか方法はない？

エンリア議長は、欧州の法律は「公的支援の可能性を排除しない」

と指摘しました。法律は大前提として「公的支援を受ける前に、

当然ながら民間投資家も相応の代償を払わなければならないと

定めている」としつつ、「公的支援を利用するには条件がある。

例えばシステミック・イベントなどの場合、公的支援が使われる

状況もある。利用にはルールがあり、こうしたルールが適用される

べきだ」とエンリア議長は述べています。

ベイルインができない事情とは

欧州の政策は現在、納税者による「ベイルアウト」でなく投資家

による「ベイルイン」を推奨する形で構築されています。公的資金に

頼る前に株主や債権者による損失負担を義務付けていますが、

ベイルインを巡る政治的動きは、特にイタリアにおいて複雑なもの

となっています。同国では預金に匹敵する安全性を約束されて銀行債

を購入した個人投資家が債務の大部分を保有していることが

この問題の大きな争点とネックになっているのです。

エンリア氏と並んでパネル討論会に登壇した

ケラマン氏は「民間投資家が保有するベイルイン対象証券の多くに

問題があるのであれば、これには対応が必要だ、と述べています。

イタリアで一部指摘されているように、こうした証券が偽りの情報に

基づいて販売されたのであればなおさらである」と主張しています。

市場は最終的には公的資金注入を予想

メルケル首相のベイルイン発言から一転して、この手の発言が

ではじめた昨晩から、ドイツ銀行株は少し反転し始めて

います。マーケットは、システミックリスクを考えた場合

やむ終えなしとの見方が占有しています。

ドイツ銀行の場合、このまま状況で危機が去ることも

難しく、今うわさにあるトルコがウェルスファンドや

国有銀行を活用して買収するなどの噂も含めて、大きなリストラ

を余儀なくされていることも事実なようです。