CTAとはなに?10年トレジャリーロングの解消売りの噂と今後のドル円の見通しは!
クオンツ戦略のヘッジファンドが米国債の下落を
増幅させたとの見方がある。商品投資顧問業者(CTA)
として知られるトレンド追随のクオンツ戦略が、
10年物米国債先物の大規模なロングポジションを
解消している噂が市場で出回っているようです。
金曜日には米雇用時計が発表となりましたが、
結果は、まさかの前月比雇用者数は200万人以上
増加したというポジティブサプライズを受けて
米国債券の利回りの上昇がさらに加速しています。
そこで、今回のトレジャリー下落の中心となっている
噂のCTAについて調べてみたいと思います。
CTAとは?
そもそもCTAとはなに?というところから紹介
してみたいと思います。
CTAとは、CFTC(米国商品先物取引委員会)の
登録業者で、開示書類の提出が義務づけられている
商品投資顧問業者のことを指します。
CTAの運用手法は様々ですが、基本的には
商品先物取引を中心に行っています。CTAのCは
Commodityのことですが、様々な投資対象に
分散投資を行っています。日本では1994年に
農林水産省、通商産業省の許可のもと、国内初のCTAが誕生し
ています。
10年物トレジャリー売りの背景は
今回のトレジャリー先物の大規模取引は今週、10年物米国債利回りが
0.69%を上回った後に発生したようです。これはCTAのポジション
解消を示唆する転換ポイントとなっていたようです。
CTAは年初から米国債をロングにしてきましたが、利回りが
この水準を上回ると800億ドル相当のポジションが
解消される可能性があるとされています。
新型コロナウイルス感染拡大阻止のロックダウンが緩和され
経済指標が改善する中で、10年物米国債利回りは
じわじわと上昇し、今週20ベーシスポイント上昇と
昨年11月以来の大幅な上昇になっていました。そこに
きて昨日の雇用統計の内容は、ある意味パニック売りを
誘発したようにも見えます。
米国債券利回り上昇によるドル円への影響と見通しは?
昨晩の雇用統計内容のビックサプライズを受けて、ドル円も
いっきに110円手前まで急上昇しました。これは米国債利回り
の上昇と比例する動きです。昨晩のドルの上昇は、コロナの影響が
底を打ったとの見方が台頭していることも背景にあり、ドルの買いが
入るのは、ある意味ファンダメンタルズを反映した動きといえるかも
しれません。一方で米国債券が売られている背景のもう一つに
FRBがある意味無制限の資金供給を決定したことにより、いわゆる
債務のマネタイズ化が今後行われることへの中長期的
な通貨や債券にはネガティブ要因を市場が意識していることの
現れもあるようです。
ただ、ドル円という為替の観点からみると、円が抱えている
状況は、FRBよりもさらに深刻な債務の垂れ流しが行われる可能性が
あり、ドル円が上昇するのは、ある程度理解できます。ドル円相場
は、昨晩の雇用統計の発表に関係なく、アフターコロナからはドルが
じわじわ上昇していました。ドル円相場の見通しは、今後もドルが上値
を目指す展開が、ドルと円の金利差が広がっていくことを反映して、続く
と思われます。
(出典:楽天証券)
まとめ
5月の米雇用統計はビッグサプライズでしたが、そもそもその数字の
内容についても精査する必要もあるようです。コロナによる影響は
歴史的な事象であり、統計についても、自宅待機者を含めて、本当に
昨晩の数字が実態を反映しているのか疑う必要があると思います。
ただひとついえることは、中央銀行が債務のマネタイズ化をしている
大きな流れがあることに間違いはなく、これが今後債券市場にとって
はネガティブ材料となっていくことが考えられます。