6月のFOMCで利上げが予想されるなかでなぜ2年利回りは上昇しないのか?
来週のFOMCで利上げが予想されいるなか、今回は
2年利回りとFF金利の関係について分析します。
なぜ利上げが近いの2年債券は売られないのか?
なぜ、来週のFOMCでFF金利の上限が現在の1.0%から1.25%への
引き上げが予想されているにも関わらず、2年債利回りは昨日の
段階で1.30%近辺で留まっているのか?
この疑問を紐解くうえで、2000年代前半の動きを参考にしたい
と思います。FEDは2000年5月の高値6.5%から2003年6月にかけて
1.0%まで利下げしました。その期間でターゲットFF金利が2%
から3%の間でしたが、その当時緩和サイクルが続くかどうか
確信がもてず、2年債利回りは上昇しました。
FEDが金融緩和を続けていたにも関わらず、2年債利回りとFF
金利のスプレッドは200bpsまで広がった経緯があります。
しかしその後金融引締め観測が2004年6以降まで後退した後は、
2年債利回りとFF金利のスプレッドは40bpsから80bpsの間に
徐々に落ち着いていく結果となっています。
2004年に金融引締め期間が到来したときにはスプレッドは再び
200bpsまで上昇し、その後引締め期間の終焉観測が強まる
とともにスプレッドは大きく縮小しています。
このように金融引締めが始まるときにはスプレッドは大きく
ひろがり、引締め期間が終焉を迎えようとしたときには大きく
縮小、スプレッドは大きく乱高下しているのが過去の経緯です。
では今回もFOMCではどうなる?
さあ、今は、1週間後に利上げの可能性が高いなか、2年とFF金利
のスプレッドは30bpsです。もし利上げが決定されて、それでも
2年債が売られなければ、スプレッドはさらに縮小し、明らかに
さらなる金融引締め観測の終焉を意味します。
来週記者会見が予定されていないなか、2年債利回りがどう
反応するか不透明ですが、FOMC声明を受けての来週の2年債
の動きに注目です。
おそらく、現在の2年債水準(1.30%)が示唆していることは、
来週利上げは行われなくて、9月以降に先延ばしになることを
示唆しています。
ここ最近の弱めの雇用統計やインフレ指標を考えると
来週利上げが見送られ、現在の2年債利回り1.3%も正当化
されるとおもわれます。もし来週のFOMCで利上げが実行
されるならば、現在の利回りは、1.50%から1.60%に上昇
しているはずです。
もし、FF金利が1.25%に利上げされたとしても、2年債
がそれほど売られないのであれば、スプレッドは
歴史的水準でも縮小し、それは今後の利上げが行われない
ことを示唆します。このシナリオは、積極的なフォワードガイダンス
を出されているなかで奇妙にもうつりますが、現在の縮小している
2年債とFF金利のスプレッドは、大方のエコノミストやFF金利市場
の予想に反して、FOMCが6月に利上げを実行しない、あるいは
来週実行しても、それ以降の利上げがないことを示唆しています。
大方の見方では、引き続き6月の利上げと9月の利上げ両方を
予想し、2年債
利回りも即座に1.5-1.6%に上昇することを予想している人が
多いですが、もし2年債利回りが上昇しない場合は、9月の
利上げ予想に疑念が生じます。
結論として、来週のFOMCで利上げが決定され、利回りも上昇して
いくと予想していますが、それに反してもし利上げが実行されず
また2年債利回りも低いままであれば、それは金融政策がここから
どこに向かおうとしているのかという疑問が生じてくると思います。