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国内の海外ETF投資と国際収支の関係と日本国債市場と財政が受ける影響は?

日本の個人投資家によるETFを通した海外のインデックス投資が

ここ数年活発化していますが、これによる、国際収支、経常収支

そして、日本の国債市場への影響について調べてみました。

国際収支(日本 → 米国 ETF 投資)の扱い

① “買うとき” → 資本収支(金融収支)の「証券投資(株式等)」

で資本流出(赤字)となります。

  • 日本の個人が米国ETFを買う=米国の株式を購入して外貨資産を保有する

  • → 日本から資金が流出するため、金融収支(資本収支):マイナス(資本流出)

  • 正確には、**証券投資(株式・投信)**の「資産の増加」として記録されます。

※「国際収支」で一般に言う“経常収支の黒字/赤字”には 投資そのものは関係しない 点が重要です。


② “配当を受け取るとき” → 経常収支の第一次所得収支の黒字

  • 米国ETFから配当(distribution)を受け取る → 第一次所得収支(投資所得)で黒字

  • 租税条約により米国で 10% 源泉され、日本側で総合課税(または申告分離)となりますが、国際収支の観点では

米国から日本への所得の受取り(黒字) として計上。

つまり

ETF保有中は 分配金が入る限り、日本の所得収支は黒字に寄与 します。


③ “売却するとき” → 資本収支(金融収支)で資本流入(黒字)

  • ETFを売却し、日本へ資金を戻す→ 資本が日本に戻るので金融収支がプラス(資本流入)

価格変動による 売買益は国際収支には反映されません

(国際収支はキャッシュフローの記録で、評価損益は無関係)


■ まとめ(時系列で見ると)

日本人が米国ETFを… 国際収支上の扱い
購入する 金融収支:株式投資で「資本流出」
保有して配当を受ける 経常収支:第一次所得収支が「黒字」
売却して資金を戻す 金融収支:資本流入

■ 補足:日本の経常収支を押し上げているのは「第一次所得収支」

実は近年、日本が経常収支黒字を保っている最大の理由は、

個人・企業・政府の対外資産(海外に保有する株式・債券・直接投資)からの収益=第一次所得収支です。

ETFの配当もまさにこれに含まれます。

日本人が米国株インデックスETFに投資した場合、購入時は資本収支で資本流出、

配当受取りは経常収支の第一次所得収支の黒字、売却時は資本流入、という扱いになります。

したがってご認識の通り、配当がある限り経常収支にはプラスに働きます。


日本国債市場への影響は


■① 日本の貯蓄は海外証券投資にシフトしている
 
その通り近年、日本の家計・金融機関は明確に海外資産へシフトしています。

  • 国内は ゼロ金利・低成長・低インフレ
  • 海外(特に米国)は 高金利・高成長

という構造から、日本の貯蓄 → 海外株・海外債券へ流れやすい。このため、家計や

 
生保の「国内国債保有比率」は長期的に低下しています。


■② 「日本人が日本国債を買い支えるには限界がある」→ 基本的にその通り本来、
 
政府債務を支えるのは**民間貯蓄(銀行・保険・家計)**ですが、

  • 家計の金融資産は増加ペースが鈍化(高齢化で取り崩しも増)
  • 銀行は国債を大量には持てない(資本規制・金利リスク)
  • 保険・年金はより収益性を求めて海外が中心

つまり、従来の「国内資金で国債を吸収するモデル」は限界が近づいている。

 
この「穴」を埋めてきたのが 日銀の大規模国債買入 です。


■③ 「では、日銀がもっとお金を刷れば解決?」→ 短期的にはYESだが、
 
長期的にはNOこれは非常に誤解の多い部分なので丁寧に説明します。


▼短期的には可能(=実際そうしてきた)実際、日本は過去10年、

  • 市場が国債を買い切れない分を
  • 日銀が異次元緩和で吸収

してきました。この意味では短期的には、「日銀が刷れば国債問題を

 
先送りできる」のは事実。


▼しかし長期的には限界がある(理由は3つ)① 日本国債の市場機能が喪失する
 
日銀が国債の約半分を保有すると、

  • 金利が市場で決まらない
  • 日本円の価値の“信頼性”が低下
  • 為替が急落(円安)

→ 国債・通貨への信認問題につながる。


② インフレが制御できなくなるリスクお金を刷る=国債を日銀が買い続ける
 
ということは政府支出を通貨で直接ファイナンスするに近い。これは極端にいうと
財政ファイナンス に近い行為。

  • 需要 > 供給の局面でこれを続けると→ 通貨価値が崩れ、インフレ・通貨安が進む

今は日本が低インフレ体質だから表面化していませんが、構造が変わるとリスクは増大。


③ 海外投資家が国債を買わなくなる(=円の国際信認低下)海外からすると:

  • 市場価格で金利が決まらない
  • 日銀が際限なく買っている
  • 政府債務 GDP 比 260%(世界最悪)

円建て資産の“安全資産”としての魅力が弱まる。


■④ 結論:日銀がお金を刷り続けることは「短期の延命」にはなるが、「根本解決」
 
にはならない。日本国債を安定的に消化するには、

  • 成長率の引き上げ(税収増)
  • 社会保障費の抑制
  • 歳出効率化
  • ある程度のインフレ維持(実質負担軽減)
  • 富裕層の資金還流・国内投資の魅力向上

などの 総合戦略 が必要。


■⑤ 補足:では“破綻リスク”は高いのか?「破綻=デフォルト」という意味では
 
極めて低い。通貨発行権のある国は名目債務の支払い不能にはなりません。
 

日本の財政が受ける影響は

国債の9割以上を日本人(広義には国内勢)が保有しているから、
 
財政ファイナンスしても問題ない」という主張は、以前から一部の
 
学者や政治家が言っています。しかし、これは 論理的に破綻している部分 が多いです。わ


■その主張は「半分だけ正しくて、半分は危険な誤解」

▼正しい部分(過去の日本には当てはまった)

  • 国内勢が国債を大量に保有
  • ゼロ金利・デフレ
  • 通貨への信頼が強い
  • 資本逃避が起きにくい

この条件では 政府債務が増えても、金利は上昇しなかった
(実際、2010〜20年代前半の日本がこれ)


しかし、

この“過去の条件”が今後も続く前提で議論している点が、根本的な誤り。

以下の理由でこの主張は間違っています。


■間違い①「保有者が国内勢なら信用リスクがない」という誤解

「信用リスクがない=デフォルトしない」という議論は半分正しいですが、

 
実際のリスクは デフォルトでなく“通貨価値の崩壊(円の暴落)” です。

●国内勢が保有していても、円の信認が落ちれば

国債価格が下がる(長期金利が上がる)

円安が進む
インフレが発生
→ 資産の目減りを嫌い、国内勢が国債を売る**つまり、

保有者が国内か海外かは本質ではない。
問題は「通貨の信用が維持されるかどうか」。

国内が保有していても、信用低下は起こる。


■間違い② 「日本人は絶対売らない」という誤った前提

国内保有と言っても、その実態は:

  • 銀行
  • 保険会社
  • 年金(GPIF)

など「規制下で強制的に持たされていた金融機関」が保有しているに過ぎません。しかし今後は:

●銀行:金利リスクで国債保有を縮小

●保険:海外債券へシフト

●GPIF:すでに国債比率を大幅低下(25%→10%台へ)

つまり、

“国内保有だから安定”という前提が既に崩れている。

だからこそ日銀が大量購入で穴埋めしている。


■間違い③ 「日銀が無限に国債を買っても副作用がない」という誤り

これが最大の誤りです。学者の中には「円は自国通貨だから無制限に刷れる。

 
よって信用リスクはない」という人がいます。しかしこれは 理論が古い
 
(1990〜2010年の日本デフレ時代の発想)。実際には、

●日銀が大量買入 → 国債市場の価格形成が消滅

●金利が市場で決まらない → 海外投資家の信認低下

●円安が急進

●輸入インフレが定着

●国民生活が圧迫(購買力低下)

●最終的に日銀は買い続けられなくなる(出口が危機化)

結果として“通貨の信認危機”が発生する可能性がある。これは「デフォルトとは違うが、実質的な財政危機」。


■間違い④ 「日本の対外純資産が大きいから安全」という議論の誤解

これは正しいが、同時に危険な視点。たしかに日本の対外純資産は世界最大ですが、

  • これらは海外通貨建て(ドル資産)
  • 国内の国債や日本円の信認が崩れても、海外資産は守られる
  • それはつまり円から外国資産への逃避が進むということでもある

つまり対外純資産が大きいほど、

円安・海外資産シフトの圧力が高まる構造でもある。

これを安全性の根拠にするのはむしろ逆効果。


■間違い⑤ 「インフレは制御できる」という誤解

財政ファイナンスを続けた国(例:英国70年代、イタリア80年代等)は

 
最終的に 通貨安→インフレ→金利上昇 を経験しました。国内保有が中心でも同じです。

国内保有率が高かった国での通貨危機の例

  • アルゼンチン
  • トルコ
  • ベネズエラ(国内化が極めて高かった)

これらは「海外に売られたから」崩壊したわけではなく、

 
自国通貨の信認が失われたから崩壊した。

まとめ:国債保有者の内訳は本質ではなく、

“通貨への信認”こそが最終的な制約である。**以下の誤解が根本:❌ 国内保有だから売られない


❌ 国内保有だから金利は上がらない

❌ 日銀が無限に買える

❌ 通貨への信認は永続するこれらはすべて デフレ時代の幻影 に基づいた議論で、
 
世界の金融構造が変わった今では通用しないという意見にたどり
 
つきました。
 
プロフィール


Yoshi

こんにちは、Yoshiと申します。
約20年に及ぶ外資系銀行でのトレード経験を活かして金融情報を独自の視点で発信しています。FX市場に携わって約20年経ちますが、現在は他の金融市場(株式、コモディティ、暗号通貨)の関連性を含めて独自目線で情報提供しています。
主な資格:
米国公認会計士合格(ワシントン州)
お仕事依頼などの連絡先:
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