メランション氏の追い上げでフランス大統領選投票でユーロにとって最も最悪のシナリオとは
いよいよ4月23日にフランス大統領選挙の第1回投票がはじまり
ます。
極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首の躍進に投資家は
既に肝を冷やしていましたが、じつはさらに最近は急進左派の
メランション氏が支持を伸ばしていることも、投資家は肝を
冷やしているようです。有権者が極右か急進左派かの選択を迫られる
可能性が最悪のシナリオのようです。
4人の候補が横一線で微妙な状況
このシナリオの現実味はなお薄いものの、23日の第1回投票では、
異端の経済政策を掲げる2人が票の5分の2以上を獲得する可能性が
あります。
一方で市場が安心するシナリオは、マクロン氏が2位までに入りこむ
ことです。側近の世論調査では、ルペン氏とマクロン氏がトップを
競っていますが、スキャンダルで失速していたフィオン氏が票を伸ばして
くると、路線的に同じマクロン氏の票を喰い、メランション氏が漁夫の利
を得るシナリオも現実味を帯びてきています。
メランション氏の政策も要警戒必要
ルペン氏とメランション氏は、欧州連合(EU)とグローバル化に対する
敵意で一致しています。ルペン氏はユーロ圏からの離脱を望み、EU加盟継続
の是非を問う国民投票実施を主張していますが、メランション氏は、一部のルールが
変えられなければ、離脱も辞さないとほぼ同じ意見です。ルペン氏は輸入品への課税
を訴え、メランション氏は国際的な自由貿易協定に拒否権を行使すると
約束しており、2人とも保護主義を標ぼうしています。
ルペン氏とメランション氏は、借り入れへの無頓着さでも共通していて
メランション氏が主張する景気浮揚策には、1000億ユーロもの資金
が必要とされ、ルペン氏は、自身が大統領に当選した場合にはフランス
の財政赤字は2018年、国内総生産(GDP)の4.5%と、
2017年の2.8%(推定)から大幅に拡大する、と予想されて
います。
いずれにしても、この二人は極右と極左での究極なポピュリズムで
ユーロにとってみれば、いちばん最悪のパターンがこの二人の決戦
投票になることだと思われます。