ポンドドル相場最新予想～メイ首相信任とブレグジット議会採決延期を受けて

メイ首相は、予定していたメイ首相が提案するブレグジット案についての

下院議決が大差でもって否決されるだろうとの判断し議会採決を延期させました。

そして英与党保守党が12日夜実施した下院議員による信任投票の結果、メイ首相が

信任されました。勝利したとはいえ、かなりの数の議員が不信任を表明しており、

ブレグジットを控えた重大局面で、首相の立場への打撃は避けられないようです。

何が重要か

首相が今回勝利したことで、反対派は少なくとも今後１年は信任投票によって

メイ氏の追い落としを目指すことができなくなります。

これを受けてポンド相場は一時上昇しまいした。しかし、約１/3がメイ首相

に反対したことが判明したことでポンドの上昇は限られました。

ポンド相場は投票を控えて上昇しましたが、予想よりも不支持の票数が

大きかったと受け止められたことで、上げ幅を縮小したかっこうと

なっています。

そして、メイ首相は自分に批判的な保守党メンバーとの

内々の会合で、2022年までに行われる次期総選挙に党首として臨まないと

明言したことが明らかになっています。

ブレグジットの行方は？

野党労働党は、もしブレグジット取引が否決された場合、メイ首相に対して

不信任案を提出すると明言しています。メイ首相がEUと再交渉できるかどうか

定かでないですが、ＥＵの主導者らは、今あるブレグジット案が最終案

であると繰り返し伝えています。

この議会採決延期決定により、英国財務省と英イングランド銀行の決済業務

への影響懸念から、ＥＵ離脱は英国経済に大きなダメージをもたらすという

問題が現実となっているようです。そして、メイ政権はイギリス史上初めて

侮辱法案可決によって、ブレグジットを主導する立場を議会で失うことに

なります。

ポンド相場への影響は？

メイ首相は、木曜日にブリュッセルに戻りＥＵ会議に出席すると側近者に伝え、

ブレグジット案のバックストップ条項(これはアイルランドと北アイルランドの

境界規制が厳しくなることを防ぐ)について再度交渉を求める予定です。

しかしトゥスクＥＵ理事会議長は、EUはバックストップ条項を含めて

ブレグジット案について再交渉する余地はない、と語っています。

したがって、今週メイ首相がEU会議に出席しても打開案が見つかる

可能性はほとんどありません。

欧州司法裁判所は、月曜日に英国は、27カ国のEU加盟国の許可なくして、

ブレグジットを撤回することができる、と判断していますが、メイ首相は、

自分が首相の座にいる限りは、この可能性はないと明確にしています。

となると、ポンド相場は、「合意なしでのブレグジット」かメイ首相の

妥協案でEUと合意するかのどちらかによって左右されると思われます。

与党内でメイ首相が信任されたことで、当面のメイ首相の辞任のシナリオ

の可能性が少なくなったようですが、メイ首相の合意案には与党内で

反対が数多くいることがわかったので、このままだとメイ首相は「合意なしでの

ブレグジット」に突入する可能性も高くなってきました。

こうなると、ポンド相場の下落懸念がさらに高まってくると思います。