ポピュリズムに振り回された年、トランプトレードを2017年も期待していいのか?
2016年も暮れようとしています。
なんといってもBrexitとトランプ勝利で、市場にサプライズを
もたらした年といっていいくらいこの二つのトピックで
振り回された2016年でしたが、2017年も今年の
延長上の流れが続くのでしょうか。
年末に向けてトランプトレードの修正が入った
S&P500種株価指数のうちセクター別では「金融」が11月8日から12月9日までに
19%上昇したが、その後はこの高値から1.9%下落しました。
「資本財・サービス」はインフラ支出増への期待から、
11月8日から12月9日までに9.5%上昇したが、その後1.8%下落しています。
主要16通貨のバスケットに対するドルの価値を示すWSJ指数は
29日に下落しました。大統領選後、ドルは対ユーロで2002年以来の高値まで
上昇しましたが、この日は急騰の勢いが一服しています。ドル高局面では債券などに
なかなか太刀打ちできない金相場は、1日の値上がり幅
としては11月2日以来の大きさとなり、金先物1月限は1.5%高の
1トロイオンス=1156.40ドルをつけています。
ヘッジファンドや資産運用会社は、国債への弱気姿勢を修正し始めています。
米国債先物市場では、12月20日までの1週間に債券が値下がりすると見込んだ
投資資金が今月つけた2008年の統計開始以来の過去最高から減少しています。
ここ数週間でジャンク(投資不適格)債の持ち高を減らし国債を買っていると
明らかにしているヘッジファンドが増えています。
経済成長見通しが過度に楽観的になったことへの警戒感を示しています。
トランプ氏の政策は期待先行でなにも決まっていない
トランプ氏が掲げる広範な財政政策の詳細とその実行は、投資家の期待に応えること
ができないかもしれないとの見方も増えています。
また、米国債利回りの上昇は消費者や企業にとって、住宅ローン金利やその他の
借り入れコストの押し上げ要因となり、米経済の成長見通しの重しに
なる可能性があると懸念も浮上しています。
インフレ率と経済成長率は、伸びてはいるものの今もなお低水準に張り付いて
います。FRBが物価の指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数の上昇率は、
FRBのインフレ目標である年2%を4年以上にわたって下回っています。
米商務省によると、リセッション後の国内総生産(GDP)の伸びは年率2.1%に
とどまっています。
バリュエーションは高いゆえにインフラ投資、法人税制改革、規制緩和といった、
期待された政策の一部が実現しないか、初期の勢いが失われた場合、その反動
のほうが怖い年に2017年はなるかもしれません。
すでにいいところを先取りしてまっている市場
トランプ氏の減税政策やインフラ増収政策を期待して上がって
しまった市場は、今後はその期待が実際に実行されるのか
期待値よりも、より大きなリターンが起きるのかどうかを
市場は注目する可能性が高いと思われます。
そのことから考えると、2017年は、期待が裏切られた時
のほうが大きく動く可能性があり、そこに焦点をしぼった
ほうが儲かりやすいかもしれません。