ビルロワドガロー仏中銀総裁が反対を唱えるグリーンボンドQEとはなに？

グリーンボンドQEあるいはグリーンQEという言葉を

ご存じでしょうか？

QEとは量的緩和のことで、グリーン債を対象に量的緩和を

するという意味です。

欧州中央銀行（ＥＣＢ）理事会メンバーであるビルロワドガロー仏中銀総裁は

このグリーン債を対象とした量的緩和に反対を唱えています。

グリーンQEとはなに？

グリーンQEとは、中央銀行が債権を購入することによって

市場に流動性を供給し、また金融の緩和措置をとる手段の

ひとつですが、一般的には、安全な国債が対象となるのが

一般的です。しかしこのグリーンQEは読んで字のごとく

グリーン債、すなわち気候変動対策に関連した債券を購入

することによって、世界的な問題である気候変動問題にも

貢献しようとするアイデアです。

ビルロワドガロー仏中銀総裁がグリーンQEに反対な理由は

気候変動に焦点を当てた「グリーンＱＥ」は市場に

深刻な歪みをもたらすとの見解を示しています。

総裁は、ＥＣＢによる資産購入プログラムの枠組みに資金の

使い道を環境に配慮した事業に限定する「グリーンボンド」への

偏向を取り入れる「グリーンＱＥ」の提案があったことを

明らかにしています。

しかしこの案に反対しているのがビルロワドガロー中銀総裁で

「この提案は不完全であり、深刻な制約がある」と述べています。

バイトマンドイツ連銀総裁も反対

欧州中央銀行（ＥＣＢ）政策委員会メンバーのバイトマン・ドイツ連邦銀行総裁は、

量的緩和実施の際にグリーンボンドの優先購入が義務付けられるなら中央銀行に

とって過剰な負担となりかねないと警告しています。中央銀行の最大の役目の

ひとつである中立性と最終的には独立性が脅かされるリスクがあると警告

しています。バイトマン氏はいわゆる「グリーンＱＥ」は物価安定の維持という

主要目標と相反を起こす可能性があると主張しています。

https://twitter.com/8qWraUUflNFPtUX/status/1189185990730010624

グリーンQEの問題点は

気候変動問題の対策を打ち出すのは選挙民によって選ばれた

政府の仕事であるというのがECBメンバーである両氏の考え方

です。中銀が環境政策を推進する民主的な正当性はないとしています。

さらに金融政策はインフレ率をマクロ経済目標としており、社会的または特定分野の

目標に特化するものではないと強調しています。そして相対的に小さいグリーンボンド市場

での大量購入は市場を大きく歪める可能性があると語っています。

そしてインフレ率が低い間だけ気候変動対策を続けなければならない理由は、

ほとんど理解されないと主張しています。

まとめ

ユーロ圏の経済は停滞しており、量的緩和の泥沼にはまり込んで

しまった感があります。そして、量的緩和の効果とまたその必要性

にも疑問が出てくるなかで出てきたのがこのグリーンQEですが

確かに聞こえのよさと地球環境の問題にも対処できるという発想は

受け入れやすいアイデアの一つではありますが、中銀総裁を経験して

いるいわゆる金融のプロからすると、これは中銀の役目ではない

というのが大方の考え方のようです。そんななかでラガルド次期ＥＣＢ総裁の

見解はちがっています。ラガルド氏は気候変動の緩和に中銀がいかに

貢献できるか議論することが「優先課題として」捉えられるべきだと

語っています。確かにやみくもに量的緩和を実施しても新鮮さもまた

効果も表れないなか、環境問題と世界を脅かす気候問題に対応した

金融政策というのは新しい発想なのかもしれません。