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バラッサ-サミュエルソン効果から考察する2022年に向けてのドル円の見通しは

ここ最近、世界中でインフレ懸念が広まっているようです。

とくに、エネルギー価格の暴騰による、インフレが不安視

されはじめています。

そのなかで、バラッサ-サミュエルソン効果という言葉を聞く機会が

増えたような気がします。

そこで今回はパラッサ・サミュエルソン効果について調べてみました。

パラッサ・サミュエルソン効果とは

貿易財部門の労働生産性が上昇する国ほど、物価水準は上昇し、

実質為替レートは下落する現象をさします。特に、なぜ先進国の

物価水準は高く、なぜ途上国の物価水準は低いのかを説明する

有力な理論の一つです。一国の生産構造を、貿易財を生産する部門と

非貿易財を生産する部門に分けて議論します。そして貿易財価格は

国際価格でほぼ一定に決まっているのに対して、非貿易財価格は

国内事情で変化すると考えます。貿易財企業の労働生産性が上昇すると、

貿易財価格は国際価格でほぼ一定であるため、賃金が上昇します。

一方、非貿易財企業は労働力を引き付けるために、賃金の上昇は

非貿易財価格を上昇させる。物価水準は貿易財価格と非貿易財価格

の加重平均であらわされるため上昇することになり、実質為替レートは

下落します。過去のデータを振り返ると、日本の非貿易財価格の

貿易財価格に対する相対価格はアメリカの相対価格に比べて上昇しており、

日本の物価水準は上昇し、実質為替レートは長期的に下落しています。

この結果は、戦後の長い期間にわたって、日本の労働生産性の

上昇率がアメリカよりも高かったという事実と対応しています。

日本でのパラッサ・サミュエルソン効果を検証

バラッサ-サミュエルソン効果とは、消費者物価が先進国より

後進国で高くなる傾向とその因果関係を示すモデルのことですが

円安傾向あるいは日本国内の物価が相対的に低いことが、日本が

貧しくなったことを反映している文脈でもあります。

この経済モデルの要所は、貿易財における生産性が高い国が

低い国より物価が高くなるという主張にあります。

いくつかポイントを挙げると:

輸出入が可能な財の価格は国際的にかなり裁定が働いている(一物一価に近い)。

経済発展過程では、貿易財部門の方が非貿易財部門より生産性が

先に上昇する傾向があります。

貿易財部門で生産性が上昇する国ほど、同部門の賃金が上昇します。

生産性上昇による賃金上昇だから、コストは上昇せず、国際競争力に

影響を与えません。貿易財部門に引っ張られて

非貿易財部門でもある程度賃金が上昇します。

生産性上昇によらない部分はコストが上昇し、価格上昇につながります。

貿易財部門における生産性の高い国ほど、物価水準は高くなります。

国内の生産性格差(貿易財部門>非貿易財部門)が大きい国ほど

実質為替レートが増価します。

これがパラッサ・サミュエルソン効果です。

日本の過去の状況に当てはめると

現在は日本の物価が低く、円が弱い状況にあります。

1990年代半ばに始まったこの現象の真因はどこにあるのかといえば、

1つのヒントが平成22年度『年次経済財政白書』にあります。

平成22年(2010年)といえば、自民党から民主党に政権交代が

起こった年の翌年です。その中で、2000年代の日本における全要素生産性(TFP)上昇

の果実がどこに配分されたかを論じた部分があります。そしてその行先は

家計(実質賃金の上昇)、企業(利潤の増加)、海外流出(交易条件悪化)

の3つですが、それぞれの内容が違っているようです。

第一に、80年代、90年代、2000年代のいずれの時期にも、

TFP上昇の一部は実質賃金の上昇という形で家計へ分配されています。

ただし、2000年代については、家計への分配はTFP上昇率の

半分以下となっています。

第二に、2000年代においては、TFPの上昇の過半が海外に流出しています。

その要因として、2003年以降の原油価格などの高騰による輸入物価の

上昇が挙げられます。同時に、輸出主導型の景気回復の過程で、輸出物価の

下落が海外の消費者にメリットを及ぼした点も指摘できます。

第三に、業種別に見ると、電機・光学機械、一般機械、電気・ガス・水道などで

海外への分配が多くなっています。例えば、電機・光学機械や一般機械は、

効率改善の成果が輸出製品の価格下落を通じて海外に流出したためと見られ

ています。一方、家計への分配が比較的大きかったのは、保健衛生、繊維、自動車販売

などですが、いずれもTFP上昇率は低く、効率の改善なしに企業から

家計へ所得分配がなされた形となっている。

以上をまとめると、2007年までの景気回復が実感の伴わないものとなった

背景の一つとして、輸出業種を中心とする生産性上昇の成果が海外に流出し、

実質賃金上昇の形で家計に分配されにくかったことが指摘できます。

2000年代、生産性上昇の果実のうち、生産性が上昇した業種では

交易条件の悪化により果実が海外に多く流出し、生産性の上昇が

少なかった業種では家計への分配が多かったという話になっています。

賃金を牽引するのが生産性上昇だとすれば、賃金が上がりに

くかったことが説明できます。

時代は変わって、アベノミクスは当初、異次元緩和により円安誘導をもくろみ、

輸出主導型の景気回復を図りました。

経済は最悪期を脱したが、景気回復の形は2000年代から大きく変わっていません。

インバウンド需要の開拓では成功を収めたが、これも実は外需が形を変えた

ものであり、同様に果実の海外流出を引き起こすかもしれません。

2022年に向けてのドル円相場の見通し

アフターコロナと言われる、現在のマーケットをみていると

エネルギー価格の上昇が、各国の経済状況に影をおとし

はじめています。とくに資源を海外に依存しているヨーロッパ

各国と日本のような国は、コストの上昇に直結的に繋がって

きます。とくに貿易に頼っている日本にとっては、大きな懸念

となります。

パラッサ・サミュエルソン効果にあてはめて考えても、生産性の低下

による、その通貨の下落基調につながる可能性があります。

現在のドル円の状況に照らしてみても、↓のチャートが示しているように

ここ5年間に及ぶレンジ相場の抵抗線を上に破って、再び円安ドル高

基調のトレンドにはいっているように見えます。

                     (チャート:楽天証券より)

2022年に向けてのドル円相場は、2015年につけた高値、120円突破を目指して

ドル高円安のトレンドが続く可能性が高いとみます。

原料価格の高騰が、日本の生産性の低下につながる可能性が高く、パラッサ・サミュエルソン効果に

照らしてみても、ドル円はしっかりとドル高円安のトレンドにのっていると

みたほうが妥当であると思えます。

まとめ

今回は、パラッサ・サミュエルソン効果についてと2022年に向けてのドル円の見通しに

ついて書きました。現在世界的のおきているエネルギー価格の上昇が

どのような影響を及ぼすのか注意深く見る必要があると思われます。

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プロフィール


Yoshi

こんにちは、Yoshiと申します。
約20年に及ぶ外資系銀行でのトレード経験を活かして金融情報を独自の視点で発信しています。FX市場に携わって約20年経ちますが、現在は他の金融市場(株式、コモディティ、暗号通貨)の関連性を含めて独自目線で情報提供しています。
主な資格:
米国公認会計士合格(ワシントン州)
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