トランプ政権の”驚異的”な税制改正がいまだ発表されない理由はなに?
トランプ政権が最優先するだろう大型減税が
いまだ公表されないままでいます。
共和党の減税案は、ポール・ライアン下院議長と
下院歳入委員会 のケビン・ブレイディ委員長が既に
策定していますが、これを巡っては、上下院の
共和党議員に加え、同案で恩恵が得られる経済界でも
意見が分かれている模様です。
なぜ減税案が行き詰っているのか?
共和党は本格的な政権始動に際し、大々的にうたって
いたオバマケアの撤廃と代替制度の導入実現を最優先事項
としています。
しかし、代替制度を導入する前に現行制度を撤廃すること
は本当にできるのかという疑問にぶち当たっています。
それとも大量の無保険者を出さないために、どうするのか
という妙案も今の所ないようです。
それでも共和党幹部は、手続き上の理由からオバマケアを
最初に扱うことが重要だとみているようです。新たな予算案
を組むには、医療保険制度の費用と税金への影響という問題を
解決する必要があるからです。
予算案の成立なければフィリバスターに
連邦議会の現行規則では、民主党によるフィリバスター(議事妨害)
を避けて、単純過半数で税制改革法案を成立させるためには
財政調整法を用いなければいけません。財政調整法を用いるため
には、予算案の成立が前提となります。そのため共和党が
民主党上院議員8人を取り込むことができなければ、
税制改革は財政調整法がつかえない時点では、オバマケアの
代替案を優先するしか方法がないのです。
国境調整税問題点
下院共和党の案は、輸入品に課税する一方で米国からの
輸出品に対する課税は免除する、「国境調整税」を中心に
構築されています。この税には、輸出を奨励するだけで
なく、米国を法人にとって魅力的な場所にし、他国に
企業を奪われることを避けて投資を呼び込む狙いがあり
ますが、財政赤字を爆発的に増やすことなく広範な
法人税減税を実現する資金として、向こう10年に推計1兆ドル
の税収が見込まれています。
しかこれについては、輸出中心の企業と輸入で稼ぐ
企業の意見が分かれ、賛成派の企業と反対派の企業が
それぞれ結束しているようです。政界では、打撃を受ける
という企業に影響されやすい共和党上院議員から
かなりの反対があります。
ようするに、この案には、共和党内でも調整がついて
結局はホワイトハウスの税制改革の詳細についての方針
も不透明であり、トランプ氏が28日に上下両院合同会議
で行う演説以降ではないと、形見えないことが予想
されます。