トランジションファイナンスが、今までのグリーンファイナンスに

取って代わって、2024年注目ポイントとなるといわれています。

そこで今回は、そのトランジションファイナンスとは、なにか

また、それが2024年に重要視されるであろうといわれている

背景について調べてみました。

トランジションファイナンスとは

これは、カーボンニュートラル実現のための長期的な戦略として、

温室効果ガス削減に取り組む企業への支援を目的とした資金調達です。

多排出産業の企業に対し、エネルギー効率向上や温室効果ガス排出削減

を促すことを目的とする投資を指し、通常、債券やローンの形をとります。

ただ現状は、共通の定義やルールはなく、曖昧な括りとなっているようです。

これまでの事例では、水素の混焼が可能な天然ガス発電所や、

燃費の良い航空機のために資金を調達したケースなどが挙げられます。

トランジションファイナンスを概略すると、省エネルギーや温室効果ガス

排出量の少ないエネルギーへの転換などの移行に焦点を当て、それに

関わるファイナンスのことを指します。

グリーンファイナンスとの違いは

　「グリーン」ラベルは、比較的規制が整っています。

多くの発行体は、10年近く前に国際資本市場協会が策定した

「グリーンボンド原則」を順守しています。

調達した資金は、再生可能エネルギーやエネルギー効率の高い

ビル開発といった低炭素プロジェクトにのみ使用されることが

想定されていますが、もっとも、これは必ずしもそうとは限らない。

2024年はトランジションファイナンスが重要テーマ

気候危機に関心を示す人々にとって「トランジションファイナンス」は、

2024年の最も重要なテーマの一つになりそうだ。

　　昨年12月にドバイで開催された国連気候変動枠組み

条約第28回締約国会議（ＣＯＰ28）のパネルディスカッションで、

国連の気候変動対策・ファイナンス特使を務めるマーク・カーニー氏は、

「今こうしている間にも、トランジションファイナンスの世界が

つくられている」と述べた。

　　南アフリカ共和国の運用会社ナインティワンの

サステナビリティースペシャリスト、アニカ・ブラウワー氏は、

「気候への投資からトランジション（移行）への投資へと、議論が

成熟してきている」と言及。同社によるドバイでのエンゲージメント

の少なくとも半分は、新興国市場向けのトランジションファイナンス

に焦点を当てたものだったという。

　　こうした言葉は、約200の国・地域が化石燃料からの脱却に合意した

ＣＯＰ28の最終合意に盛り込まれた。ただ、これは拘束力のない合意で、

各国は世界的な移行に寄与することのみを求められている。

 　　言い換えれば、どのように、いつ取り組むかを決める上で、化石燃料会社

にほとんど制約はないと、ＭＵＦＧバンクの欧州・中東・アフリカ（ＥＭＥＡ）

コモディティー・ＥＳＧ（環境・社会・企業統治）・新興国市場調査責任者の

イーサン・コーマン氏（ドバイ在勤）は言う。

　　これは、サステナブル関連のマンデートを持つ投資家などにも裁量を与える。

　　「トランジションファイナンス」の定義は緩く、ネットゼロ経済達成への取り組みを

後押しする産業やインフラ向けを中心とした投資とされている。風力発電所や

バッテリー工場など、いわゆる気候ソリューションを一般的に対象とする

「グリーンファイナンス」とは区別されている。

一貫性のある基準はなし

　　それでも、ＪＰモルガン・チェースのＥＭＥＡ・ＥＳＧ・グリーンエコノミー

投資銀行部門責任者のチュカ・ウムンナ氏によると、状況の変化を受け、

ほんの数年前苦境にあった戦略にも道が開かれつつあるという。

　　以前はグリーンウォッシングを疑われるとの懸念から、トランジション債の

ラベルを開発する取り組みは債券市場で阻害されていたが、今では

「そうした議論への関心が高まっている」と同氏は話す。

　　銀行、保険会社、運用会社の連合体は、トランジションファイナンスの

定義を巡り、何らかの「ガードレール」を設けるため議論を進めている。

だが一貫性のある基準は今のところ存在しない。

　　「グラスゴー金融同盟（ＧＦＡＮＺ）」は、再生可能エネルギーや

電気自動車など従来のグリーンな活動へのファイナンスのみならず、脱炭素化を

計画する環境汚染企業、さらには閉鎖の途上にある限り、石炭火力発電など

多排出産業に対するファイナンスも投資戦略に含めることを提案している。

　　トランジションファイナンスに関する多くの提案に共通するのは、

多排出企業との関係を単に断つのではなく、環境汚染企業の段階的な活動停止

や排出削減への道筋を、金融機関は支援すべきだという考え方だ。

　　ＧＦＡＮＺは、前イングランド銀行（英中央銀行）総裁でブルームバーグの

取締役会の議長も務めるカーニー氏と、ブルームバーグ・ニュースの

親会社ブルームバーグ・エル・ピーの創業者で過半数株主である

マイケル・ブルームバーグ氏が共同議長を務めている。

参照:ブルムバーグ

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-01-10/S6Z4DHT0AFB400

まとめ

トランジションファイナンスには、明確な定義はないようですが、

今までのグリーンファイナンスの定義が狭いがために、広がりに

苦慮した敬経緯から、もっと幅広い定義で受け止められる、移行期間

を含めた対象のファイナンスを、トランジションファイナンスと

呼んでいます。今までは、グリーンウォッシングへの懸念から

敬遠されていた側面もありましたが、この「移行」も含めた

ファイナンスが浸透すると、このトランジションファイナンス

が2024年に注目される可能性があります。

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