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テマセク(シンガポール政府系ファンド)大量購入したディディのADRとは

6月に米国で新規株式公開(IPO)を実施し、その直後に中国当局の調査対象

となった中国の配車サービス大手、滴滴出行(ディディ)に対し、大手ヘッジファンドが

6月末時点で多額の投資をしていたことがわかりました。

これがなぜわかったといえば、ヘッジファンドが米証券取引委員会(SEC)に

提出した6月30日までの四半期報告書を提出するからです。

ヘッジファンドが四半期ごとにSECに提出を義務付けられている「13F」

と呼ばれる報告書は、四半期末時点でのファンドの証券保有状況を示すものです。

これによると、シンガポールの政府系ファンド、テマセクは滴滴の米国預託証券(ADR)を

3300万ADR購入していたことがわかりました。

そして、T・ロウ・アソシエーツは1020万ADR、ジョージ・ソロス氏の

ファンドは272万ADRを購入していたことが判明しました。

そこで、今回は、このADR(米国預託預金)とはなにか、また購入した背景について

調べてみました。

ADR(米国預託証券)とはなに?

ADRの正式名称はAmerican Depositary Receiptと呼ばれており、

日本語では米国預託証券といいいます。

これは、米国以外の国で設立された企業が

発行した株式を裏づけとして米国で発行される有価証券となります

ADRそのものは厳密には株式とは言えませんが、裏づけとなる株式から

生じる経済的権利の全てを含む有価証券であるために、株式を保有するのと

ほぼ同じ効果を得ることができます。

ADRのしくみ

仮にA社株式はすでにインド現地の証券取引所に上場されているとします。

A社のADRが発行されるまでには主に以下の作業が行われます。

C銀行がインド現地でA社株式を購入しインド現地のB銀行に預け

C銀行はインド現地で預けたB社の株式を裏づけとした預かり証券(預託証券)を発行する

A社とC銀行は発行された預託証券を米国証券取引所に上場させる

預託証券の発行で大きな役割を担うのが米国のC銀行です。C銀行はインド現地でA社の

株式を取得した後、そのA社の株式の所有権を示す預かり証を発行します。

その預かり証のことを預託証券(Depositary Receipt)と呼び、さらにこの預託証券が米国において

発行されることから米国預託証券(American Depositary Receipt=ADR)という名称がつけられています。

そして何より重要なのが作業(2)です。上図でもご覧の通り、C銀行が発行した米国預託証券は

インド本国のA社株式に対する所有権そのものであることから、米国預託証券の保有者はA社の

実質的な株主となるのです。

上場審査手続きを通過し米国株式市場に上場されることになったA社のADRは、

これによって米国に上場されている米国企業の株式と同様に売買することが可能となります。つまり米国証券取引所に

アクセスできる投資家であれば、インドA社のADRをあたかも米国企業の上場株式であるかのよう

取引することができるようになります。

米国株を取引する感覚で、米国以外の国の株式を実質的に取引できます。その利便性こそが

ADRの特徴です。

ディディのADRを大量に購入したヘッジファンドは

6月末時点でディディのADRを大量に購入していたヘッジファンドはテマセク以外に

タイガー・グローバル・マネジメントとアダージ・キャピタル・パートナーズも取得を公表

しました。

滴滴は6月30日の米IPOで3億1680万ADRを発行し、44億ドルを調達しましたが、

数日後の7月2日に中国サイバースペース管理局(CAC)が同社に対する調査を発表しました。

滴滴のADRは急落し、公開価格から40%超値下がりしています。

これは、上記に示したように、6月時点の残高を示すもので取得日は開示されていません。

このため、ファンドが滴滴のADRをいつ購入したかは不明で、投資による損失もしくは

利益の状況も明らかではありません。

まとめ

今回は、テマセクをはじめとする、大手ヘッジファンドが中国企業のADRを大量に購入して

いた事実について調べましたが、規制に現地の株式購入が直接できなくても、こうした

ADRの形態で大量にポジションを保有している事実があります。

中国当局の企業への規制強化の影響は、実際のところ、どのくらい投資家の損失を

被らせているのかは、計り知れないところにあるようです。こうしたヘッジファンド等の

影響を注視する必要があるかもしれません。

 
プロフィール


Yoshi

こんにちは、Yoshiと申します。
約20年に及ぶ外資系銀行でのトレード経験を活かして金融情報を独自の視点で発信しています。FX市場に携わって約20年経ちますが、現在は他の金融市場(株式、コモディティ、暗号通貨)の関連性を含めて独自目線で情報提供しています。
主な資格:
米国公認会計士合格(ワシントン州)
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