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イスラム国ホラサン州(ISIS-K)とタリバンそしてアフガニスタン歴史の関係について

アフガニスタンの反政府勢力タリバンが、2021年8月15日、首都カブールに

侵攻し大統領府を掌握しました。これを皮切りに世界はアフガニスタン情勢に

懸念をもつことになります。

バイデン大統領は、今月末にてアフガニスタンからの撤退を宣言して

おりますが、この結果は、ベトナム戦争の最後に、アメリカが不名誉な

撤退を迫られた「サイゴン陥落」を想起させる出来事になりつつあります。

そこで、今回はアフガニスタンの歴史とタリバンの関係、そしてテロの

温床となっている「イスラム国ホラサン州」との関係について調べて

みました。

アフガニスタンの歴史

アフガニスタンのそもそもの悲劇はソ連のアフガニスタン侵攻だった

といえます。2001年10月、アメリカはアフガニスタンに介入することで

泥沼の戦争に引きずり込まれたのですが、そもそものきっかけはソ連

のアフガニスタン侵攻でした。1979年12月25日、ソ連軍がアフガニスタンに侵攻します。

当時ソ連は15の共和国がいっしょになってひとつの連邦国家をつくっていましたが

ソ連共産党が支配する巨大な帝国でした。当時のソ連はアフガニスタンと

国境を接していましたが、現在アフガニスタンの北側を見るとタジキスタン、

ウズベキスタン、トルクメニスタンという国々があります。

当時はそれぞれ「ウズベク共和国」などという、ソ連の一部だったので、ソ連は

第2次世界大戦でドイツの侵略を受け2600万人以上が犠牲になったといわれています。

第2次世界大戦で最も多くの犠牲を出しています。

それはソ連が崩壊し、ロシアになったいまも続いています。当時のアフガニスタン

国王が病気療養のためにイタリアへ行っている隙を狙って国王のいとこがクーデターを

起こします。その後、「クーデターをやれば政権をとれるんだ」と、次々にクーデターが起き、

その動きに対して国内のイスラム勢力の活動が活発化します。結果、ソ連としては

隣国の状況が心配になり、自分寄りの国をつくるため軍事介入をするようになったのです。

こうして平和なイスラム教の国だったアフガニスタンが、大変な混乱に巻き込まれて

いったのです。ソ連は社会主義国家で宗教を否定する立場をとっています。

イスラム教徒の国に無神論者が攻め込んだとなると、戦うのはイスラム教徒の

義務「ジハード」です。

ソ連軍と戦うアフガニスタンの若者たちはムジャヒディン(イスラム聖戦士)と呼ばれ、

アラブ諸国からも多くの義勇兵が応援にやってきて参戦します。

アメリカは、アフガニスタンのムジャヒディンに大量の資金と

武器を与えます。ベトナム戦争中、アメリカ軍は、ソ連の支援を

受けた南ベトナム民族解放戦線に手を焼き、ベトナムから

追い出されています。今度はその逆をやってやろうというわけです。

1979年の翌年といえば「モスクワオリンピック」です。当時の

アメリカのジミー・カーター大統領は、ソ連で行われるモスクワオリンピックを

ボイコットしようと世界に呼びかけました。ソ連がアフガニスタンに

侵攻したからです。日本はアメリカに従いました。

ソ連軍は、アメリカの軍事支援を受けて力をつけたムジャヒディンによって

大きな打撃を受け、アフガニスタンからの撤退に追い込まれます。アラブ諸国から

応援に来ていた若者たちは、それぞれの国へ帰って行きます。

世界はアフガニスタンに関心を持たなくなりました。

アフガニスタンとタリバンの関係は

アフガニスタンにはさまざまな民族がいます。多くはパシュトゥン人ですが、

日本人そっくりのハザラ人(モンゴルが支配した時代の落とし子)、

金髪の白人(アレクサンダー大王が遠征した時代の落とし子)もいます。

タジク人、ウズベク人が入り交じり、自分たちが権力を把握しようと争い、

内戦になっていきます。

今度は、そこに目をつけたのがパキスタンです。アフガニスタンにソ連軍が入ってきたとき、

大勢の難民がパキスタンに逃げてきました。パキスタンにいたイスラム原理主義の

集団は、難民キャンプの子どもたちのために神学校をつくり、極端なイスラム原理主義を

教え込んでいました。パキスタンは、この学生たちに目をつけ、最新兵器を

与えて兵士にしたのです。最新兵器は、アメリカがパキスタン経由で

アフガニスタンへ送っていたものです。

それを途中で抜き取って自分たちのものにしていたのです。

学生のことをアラビア語で「タリブ」と言いますがこの複数形が「タリバン」です。

大混乱していたアフガニスタンに、パキスタン軍の支援を受けたタリバンが

武器を持って入ることで、アフガニスタンは過激派組織タリバンが支配する

国になってしまいました。

アフガニスタンとアメリカの関係は

そのアフガニスタンになぜ約20年もアメリカ軍がいたのか、といえば

2001年9月11日、オサマ・ビンラディン率いるアルカイダが、同時多発テロを起こします。

このビンラディン容疑者をかくまっていたのがタリバン政権でした。

アメリカは引き渡しを要求しましたが、タリバンはこれを拒否し

当時のアメリカのジョージ・W・ブッシュ大統領(息子)は

「これらの行為をしたテロリストだけでなく、彼らをかくまう者たちを

われわれは区別しない」と、アフガニスタンを攻撃しました。

こうしてアフガン戦争が始まります。

アメリカはアフガニスタンを支配していたタリバンを首都カブールから

追い出したのですが、タリバンの残党はしぶとくアフガニスタンの山岳地帯で

抵抗を続け、アメリカ軍はこの地にずっと駐留することを余儀なくされたのです。

長期にわたる戦闘は大きな負担となります。戦費は膨らみ、

多くのアメリカ軍兵士の命も奪われました。

イスラム国ホラサン州(ISIS-K)とは

アフガニスタンの首都カブールの国際空港周辺で8月26日に起きた爆破テロについて、

イスラム過激派組織「ISIS-K」がSNSで犯行声明を出しました。

カタールの衛星テレビ局「アルジャジーラ」によると、今回のテロで少なくとも7

2人のアフガニスタン人と13人の米兵が死亡しました。

犯行声明を出したISIS-Kとはどんな組織なのか、とえいば

この組織はタリバン支持団体の地方司令官がISに忠誠を誓って設立

しました。ISIS-Kは、かつてシリアなどで支配地域を広げた

イスラム過激派「ISIS」(イスラム国)の支部です。

自らを「イスラム国ホラサン州」と名乗っています。

ホラサンとはアフガニスタン、パキスタン、イラン東部にまたがる

一帯の歴史的な地名のことで、現在の国境線を否定するISの思想に

沿った名前です。メディアからは「IS-K」「ISIS-K」「ISIL-KP」「ISKP」など、

さまざまな略称で呼ばれています。

国際テロリズム要覧2021によるとISIS-Kが設立されたのは、

ISISがシリアやイラクで勢力を伸ばしていた2015年1月だといわれています。

パキスタン北西部を拠点にするタリバン支持組織「パキスタン・タリバン運動」の地

方司令官だったハフィズ・サイード・カーン氏が、ISISの最高指導者バグダディ氏に

忠誠を表明して設立を宣言した。

その後は、タリバンやパキスタン・タリバン運動から戦闘員をリクルートし

アフガニスタン東部に活動拠点を設けて勢力圏を徐々に拡大させたが、

2016年以降は駐留米軍等の空爆が本格化し、歴代の最高指導者等の

多数の幹部及び戦闘員が死亡しました。

現在も約2200人の戦闘員を抱えると考えられているが、この数はアフガニスタン

から米軍の撤退が進む中で増大した可能性があります。アフガニスタン

東部のクナール州の山間部を主要拠点にしています。

ISIS-Kは、車を使ったり、自爆ベストを着た人を群衆の中に送り込んだりして、

自爆テロで群衆を攻撃することで知られています。

2020年11月にはカブール大学で武装した2人組が自爆や乱射を交えつつ

6時間にわたり立てこもり、学生18人を含む22人が死亡。40人以上が負傷しました。

2人組の画像と共にISIS-Kが犯行声明を出しています。

ISIS-Kとタリバンとの関係は

ISISとタリバンは敵対しています。

8月にアフガニスタンをイスラム主義組織「タリバン」が制圧したことを、

多くのテロリスト集団は喜んだが、ISISはそうではありませんでした。

タリバンがアフガニスタンをジハード (聖戦) で支配するのではなく、

アメリカとの和平交渉をしていたことを、ISISは非難しています。

タリバンを 「背教者」 と呼び、イスラム法をしっかりと

適用していないという立場です。

ISは、米国同時多発テロの攻撃の責任者であるイスラム過激派「アルカイダ」とも

異なることに注意する必要があり、アルカイダは、タリバンと緊密な関係を維持している。

米国同時多発テロを主導したのは、タリバンの支配地域にかくまわれていた

オサマ・ビンラディン氏が率いるアルカイダでした。これはNATO軍が

アフガニスタンに侵攻するきっかけとなりました。

なぜ今、ISIS-Kが特に懸念されているのか、といえば

8月31日より前に、多国籍軍は、可能な限り多くの自国民と反タリバン活動を

支援したアフガニスタン人をカブール空港から避難させようと急いでいます。

タリバンは、アメリカとその同盟国が31日までに軍の撤退を完了していない場合、

深刻な結果になると警告しています。脱出の窓が閉まるにつれ、

差し迫った攻撃の脅威が高まっているのです。

ISISがカブールの空港を攻撃することは、欧米諸国の軍だけでなく、

タリバンの支配も弱体化させることにつながります。

タリバンとアメリカとの関係は

2020年2月29日、トランプ政権は同年秋の大統領選挙を控え、アフガニスタンの

タリバンとの間で「和平合意」を結びました。トランプ前大統領は

2016年の大統領選挙中、「自分が当選したらアフガニスタンから軍隊を撤退させる」

という公約を掲げていました。その公約を守ったというわけです。

バイデン政権もこれを引き継ぎ、9.11米同時多発テロからちょうど20年を

迎える2021年9月11日までにアメリカ軍の完全撤退を完了すると表明していました。

しかしこの政策が、結果的にアメリカが支えてきたアフガニスタン政府を

崩壊させる引き金となってしまいました。

バラク・オバマ元大統領は一部を除いて完全撤退させる方針を打ち出したのですが、

なかなかそれが叶いませんでした。トランプはオバマ政権のアフガン戦略を批判し、

2016年の大統領選挙では、「早期撤退」を公約に掲げていました。

「撤退」といえば聞こえはいいのですが、事実上のアメリカの敗戦です。このまま延々と資金と

人命を費やすのは無駄なので「アメリカがアフガニスタンを見捨てた」

という見方もできます。

アメリカの対テロ戦争は20年にもおよび、多くの犠牲を出して振り出しに

戻ってしまいました。

今後、アフガニスタンにどのような新政府が誕生するのか。国際社会は、再び

タリバンによる抑圧的なイスラム統治が行われるのではないか、とりわけ、

女性の就労や教育の権利が認められるかどうかに注目しています。

中国とロシアがアフガニスタンに急接近

一方で、アフガニスタンに急接近しているのが中国とロシアです。

中国の王毅外相兼国務委員はタリバンの復権を見越し、2021年7月、天津市に

タリバン幹部を呼び会談しました。中国にはイスラム教徒が住む新疆ウイグル自治区があります。

アフガニスタンの安定は中国にとっても重要なことなのです。

また、中国の「一帯一路」構想にアフガニスタンを組み込みたいとの

思惑もあると思われます。ロシアもタリバン指導部をモスクワでの会議に

たびたび招いており、着々と関係を構築しています。中央アジアでの

影響力拡大を狙っているのです。
 

あとがき

今回、アフガニスタンで起きている、歴史的背景も含めて

まとめてみました。結局アメリカのアフガン介入が失敗した

かたちとなりましたが、テロがアフガニスタン国内にとどまらず

世界に拡散してしまうことが最も懸念することだと思います。

フーシ派(イエメン)とスンニ派が敵対する理由とイランのシーア派との関係は!

イスラエルのネタニヤフ首相のイラン軍攻撃にトランプの影有りで中東リスク増殖

 

プロフィール


Yoshi

こんにちは、Yoshiと申します。
約20年に及ぶ外資系銀行でのトレード経験を活かして金融情報を独自の視点で発信しています。FX市場に携わって約20年経ちますが、現在は他の金融市場(株式、コモディティ、暗号通貨)の関連性を含めて独自目線で情報提供しています。
主な資格:
米国公認会計士合格(ワシントン州)
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