アメリカ住宅着工件数と自動車販売件数の急落が意味していることは?今後のドル円の見通しは?
最近の経済指標について、注目されることは、
住宅、自動車ともに弱い数字なったことです。
住宅着工は5月は前月比5.5%下落し、住宅申請許可数もまた
減少しました。このことで、自動車産業がピークをつけた
という見通しが出てきています。
自動車と住宅産業の見方の違い
自動車産業がピークを打った見方に賛同するむき
が多いですが、住宅については、1ヶ月のデータだけで、
ピークアウトしたと判断することは早計です。
自動車産業の頭打ち説は意味をなしています。自動車産業は
金利が上昇していくなか、頭打ちする可能性が高い
と予想しています。自動車産業は18の製造業のうち約10の
製造業に影響を及ぼし、製造業PMIについてもピークアウト
する可能性が高いとおもわれます。
しかしながら、住宅産業の頭打ちについては別の見方が
多数派です。
世帯形成データ調査によると、蓄積された需要が住宅にはあるから
です。住宅は典型的初期サイクルの兆候としてみなされますが、まだ
下降基調のサイクルに入ったとは言い難いのが現状です。
滑走路に乗っかっている飛行機がクラッシュすることは考え
ずらいということです。堅調な住宅ローンや消費者信頼感の伸びは、
この見方を後押ししています。
金利市場では景気減速を織り込んでいる?
このような背景のなか、FEDは緩やかな金利の正常化を
続けています。またバランスシート縮小計画も設定され、市場が
予想にそってFEDは動いているようです。しかし、金利予想に
ついては、市場とFEDとの間で乖離が生じています。
市場の金利予想は景気減速を予想したレートとなって
います。
FOMCは、彼らの計画に従うと、なにか予想外の大きなことが
起きないかぎりは、ハト派的な立場をとることはできない
と思っています。世界経済も堅調に推移しており、なにか起こる
となるとアメリカ国内であることが予想されます。
ファンダメンタルズは好調
設備稼働率をみると、FEDは金融引き締めを継続していく
ことが伺えます。
実際に5月の稼働率は76.6%で、この数字は
インフレをさらに下げるものではありません。
しかし、一方でこの稼働率の数字はそれほど高いものでも
なく(実際にインフレ指標が跳ね上がる時は85%を超える)
インフレは落ち着いていることが読み取れます。
現在の状況を”Goldilocks”の状態、すなわちインフレなき
成長過程にいると位置付けることができます。
インフレが落ち着いているにも関わらず、利上げが
敢行されたことは、FEDが2017年に金融政策を
正常化する強い意志があることを示しており、ドルにとっては
サポート材料になるとおもわれます。
今後のドル円の注目点は
重要なポイントは世界経済が加速しているというストーリー
でしたが、このストーリーもインフレが減速するなかで
変化の兆しをみせています。アメリカのPPIデータが
失速したことに注目が集まりましたが、今後のドル円の注目点は
アメリカの財政政策と収益力に移っていくとおもわれます。
これから夏にかけて持ち上がってくるアメリカの債務上限問題
などは、今後のドル円相場を左右しそうです。