いよいよ市場はトランプ次期政権下のスタグフレーションを見通し始めいる?
スタグフレーションとは、スタグネーションと
インフレーションを合成させた言葉で、
景気後退局面にありながらもモノ不足に
よりインフレの状態となることを意味します。
その兆候としてここ最近では実質利回りが
急落しはじめています。
これは、トランプ次期米政権の経済政策に対する
市場の期待が後退しつつあることをうかがわせる
最新の兆候です。
実質利回りの低下が意味するものとは
実質利回りとは債券利回りからインフレ率を差し引いた
ものです。
10年物米国債の実質利回りは2016年12月半ばに
米大統領選後で最も高い0.74%をつけましたが、
足元で0.38%に低下しています。実質利回りは
景気改善に伴い上昇する傾向があることを考えると、
トランプ氏が11月8日の選挙で勝利して以降の
実質利回りの急伸は、経済活動の世界的な
拡大を示唆していたといえますが、ここのところの
実質利回りとドル相場の下落について、トランプ氏の
政策に経済成長押し上げ効果は期待できず、
せいぜいインフレに影響を与えるだけだと
人々が考えているしるし」との見方が増えて
きています。
一方で将来インフレ率は強まっている
債券市場が予想する将来のインフレ率は実際、
この数週間で上昇しています。10年物ブレークイーブン・レート
(名目国債と物価連動国債の差)
は直近で2%と、12月16日の1.873%を上回っています。
トランプ政権が中国からの輸入品に高関税を課す
可能性について懸念する向きもあります。
これが導入されれば中国が報復措置を講じる恐れがあり、
そうなれば米国では経済成長の勢いがそがれる一方、
輸入品の値上がりでインフレ圧力が高まりかねないとの
見方が強まっています。
要するに経済成長が小幅にとどまる一方でインフレが加速する
可能性が高いとみているのです。
インフレが進めば、米消費者の実質所得は減り、
FRBは利上げせざるを得なくなります。そうなれば
株高基調は崩れ、長らく心配されてきた経済の
景気後退入りがいよいよ現実味を帯びる恐れがある
というシナリオをそった動きが最近の市場の動き
です。
政治的に介入されるドル円に注意
そういったシナリオも警戒してか、ここ最近のドル円の
上昇も陰りがみえています。
要するに政治介入によるドル円の動きを警戒しはじめて
いるのです。
皮肉にもトランプが正式に就任すると同時に、以前心配
されていた円高政策にも注意を払う必要がありそうです。