6月米雇用統計は+287K、果たしてこの数字は信用できるのか?
昨日発表された米国の6月に雇用のペースが加速し、労働市場が
持ち直しました。非農業部門就業者数(季節調整済み)は前月比28万7000人増加し、
5月の大幅減速から大きく反転する結果となりました。
この数字、ベライゾン・コミュニケーションのストの影響を度返ししても
先月から20万人以上反転したことになります。
誤差の範囲が10万人といわれているだけに、この数字が後から下方修正される
ことも想定する必要がありそうです。
ただ一方で見逃せないのが賃金の伸び率です。
賃金が前年同月比2.6%上昇しています。雇用市場がひっ迫する中、雇用主は
熟練労働者を引きつけるため賃金引き上げを余儀なくされているようです。これは特に
中小企業にあてはまっているようです。全米独立企業連合会(NFIB)の調査では、
大企業よりも中小企業の方が賃金上昇ペースがはるかに高くなっています。人口構成の
バイアスが調整されているアトランタ地区連銀の賃金伸び率トラッカー(追跡指標)によると、
賃金の前年比伸び率は3.4%と(労働省統計が示す)推定値を大きく上回っています。
一方で、就業者の伸びの月間平均は4-6月期にわずか14万7000人となり、1-3月期の
19万6000人、また2015年の22万9000人を下回り下降傾向にあることも確かです。
この辺りがエコノミストの間でも意見が分かれているところで、雇用者数はピークアウトして
いるという意見のほうが納得させられます。
雇用統計後の米国債の動きやドル円の動きを見てみると、今回の雇用統計の数字を
そのまま鵜呑みにしていないようです。
来週の為替相場は、ドル円では99円台の二番底を意識しながらも、方向感が見えづらい
相場が続きそうです。