
2020年後半のユーロドル見通しでPIMCOとレイダリオ氏がドル売りを推奨する理由は!
パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の
マネージング・ディレクター、エリン・ブラウン氏が
ドルに対する警鐘をならしています。
エリン・ブラウン氏は、ドルが先進諸国通貨に対して
今後も弱基調を維持すると予想しています。
エリック・ブラウン氏(PIMCO)のドルの見方は
先進諸国のなかでも、特にユーロと円が有望で、
「最良の戦略的ロング(買い持ち)」だとしています。
すなわち、ユーロドルロングの推奨です。
同氏は、FEDがイールドカーブ・コントロール戦略に
着手するとは考えていないと主張しています。
FRBは、1960年代に「オペレーション・ツィスト」
と呼ばれる金融政策を実施してイールドカーブを操作する
ことで景気浮揚を狙いましたが、この局面でFEDはそれを
想定していないとの見方をしています。
PIMCOは、ユーロと円が魅力的だとの見方を
していますが、株式市場の魅力度では、欧米と
一部エマージング(新興)諸国市場が日本よりも高いとの
見方をもっています。ということは、通貨で最も
魅力的なのは、現状ユーロということになります。
ユーロを推す理由は金の上昇
ユーロが推奨されるもうひとつの理由として
金価格の上昇があります。金価格とユーロ相場
はある程度リンクしている側面があり
金価格の上昇トレンドは、このポストコロナ渦
において勢いが続く可能性が高いです。
ドルを中心として、各国が債務を増やして
景気浮揚を画策していることも、この金価格
上昇の背景にあります。
レイダリオ氏がドルの下落を警鐘する理由は
ダリオ氏がMarketWatchのインタビューで、かなり差し迫った
ドルに対するネガティブな見方を示しています。
ドルに代わるような準備通貨が存在しない中でも、
ドル離れが進みうるとの考えを示しています。
確かに米国のコロナ・ショック対応は金融・財政政策ともに
極めて大規模であり、短期的に巻き戻しが展望できないなら、
それが暗示するのはドルの下落であると警鐘
しています。またドルの凋落が円の凋落と前後する
可能性は小さくないと予想しています。
なにしろ、日本はたくさんドル資産を抱え込んでいる。
レイダリオ氏がドルにネガティブな理由は、
今、借金を作り貨幣を印刷して富を配ることに
重点を置きすぎて、生産性向上がおろそかになっている
ことをあげています。
富とは、借金や貨幣を生み出すことで生まれるものではなく
みんなで生産性を高めなければ生まれないというのが
レイダリオ氏の持論です。
政府にとって最も安易な道は、
借金し、貨幣を大量に増刷することで
増税すれば、誰かから徴収することになり、不平が出る。
人々は債務や貨幣増刷について無関心で
みんなバラマキに感謝し、お金がもらえないと怒る
状態です。
ダリオ氏は生産性を高めるための施策として、
良質な投資(例えば教育投資)や機会均等な社会の実現を挙げて
います。
ダリオ氏はによれば、最近の金融資産の上昇は貨幣の価値の下
落によるものだとの見方をしています。
先々の下落を嗅ぎ取った投資家が金融資産を買った、との
見方しています。
「投資の価値を心配するように、貨幣の価値を心配しなければ
ならないというのが、レイダリオ氏の唱えている
「現金はゴミだ」にいきつきます。
あなたが最も安全と考える現金こそ保有してはいけない。」
ダリオ氏は以前から、ゼロ金利に行き着いた今、MMTのような
金融・財政政策の協調が選択されると予想してきました。
まとめ
ポストコロナの各国の対応は、財政出動と貨幣の増発に
よって危機を乗り越えることです。そのなかで
アメリカの財政出動規模と資金供給規模は
他国と比べても圧倒している部分があり、
結局それ、中長期的の通貨の下落をもたらす
というのが、レイダリオ氏をはじめとして
PIMCOの警鐘しているポイントのようです。
ただ、それに代わる通貨が存在しているわけで
なく、ユーロも円も財政的には大きな弱点
をもっていることに変りなく、結局はドル安
も大きなトレンドにはならないというのが
個人的な見方です。通貨に代わる金融資産が
選択される傾向が今後も続く可能性が高い
と思わまれます。