米国MMF規制改正とLIBORの上昇は銀行にとってプラスになる?
米国のMMFに対する規制改正が、世界的にドル貸し出し金利の指標とされる
ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の上昇につながっています。
この規制改正で、格付けの高いプライムMMFが額面割れとなる可能性は高くなり、
また、金融市場が緊張した場合には、解約手数料を徴収したり、顧客の資金を
凍結したりもすることもあります。
プライムMMFからMMFに資金が移動
これを受けて投資家が国債を投資対象とし元本割れの可能性が低いMMFに
資金を移す動きが生じています。プライムMMFは極めて安全性が高いとみられ、
企業や投資家が現金を置いておく対象なので、この変化は大きなニュースです。
いまや数千億ドルもの資金がプライムMMFから離れ、CP市場から資金が引き揚げられ、
CPの利回りが上がりLIBORも上昇しています。3カ月物ドルLIBORは、1年前は
約0.3%でしたが、いまや0.8%程度に上がっています。FRBが昨年12月に行った
利上げは、この上げ幅の半分の原因でしかありません。
LIBOR上昇の影響は?
一部の銀行は資金調達コスト上昇の悪影響を受けていますが、LIBORに連動する
変動金利建ての融資残高のある銀行には救いになっている面もあります。
いくつかの米銀は変動金利の事業融資などの資産を大量に持っていますが、その資金の
大半をLIBORに連動していない預金でまかなっています。今後12カ月にわたりLIBORが
高止まりするならば、米銀の収益は4%〜5%増える可能性があるといわれています。
HSBCやスタンダード・チャータードなど米ドル建て貿易金融を大規模に行い潤沢な
預金のある大手国際金融機関も、恩恵を受ける可能性があります。だが、米ドル建て
融資の資金を銀行間資金市場で調達している欧州の銀行にとっては負担になります。
プライムMMFからの資金移動が定着し、LIBORの上昇は続く公算が大きいといわれて
います。しかし、MMFに頼ってきた金融機関が代わりに預金を追求するようになり、
預金金利も上がる可能性が高いので、LIBOR上昇の恩恵は長くは続かないといわれて
います。