米国自社株買い指数(バイバック指数)がGDP減速に関わらず上昇している理由は?
米国バイバック指数とは、主に米国のバイバック企業
(自社株買いに積極的な企業)の株式等のインデックスを
言います。。
バイバック企業とは一定期間内に、自社株買いを実施した企業、
または自社株買いの発表を行い、今後自社株買いが実施されると
考えられる企業をいいいます。
そのバイバック指数が、再び好調さを維持していますが
一方で米国のGDPなどはここ数年は頭打ちをしていますが
この乖離はどうしておきているのかについて調べて
みました。
第2四半期のGDPも減速傾向を示す
米国の第2四半期GDPが発表となりましたが、企業の営業利益
は1兆9000万ドルと第1四半期と比べると、5%減速
しています。そしてこの結果は3期連続の下落となり
前年同期比と比べても7%の下落となりました。もっと
醜いのは第2四半期の数字だけでなく、過去2年のGDPが
下方修正されたことです。2017年の営業利益は4.4%、
そして2018年については8.8%も営業利益が下方
修正されています。
(チャート:Zero Hedgeより)
米国バイバック指数が好調な背景について
上記のように、ファンダメンタルズが脆弱になっているにも
関わらず、S&P500とまたバイバック指数も好調さを維持しています。
(チャート:ダイワバイバックファンドの推移)
↑は有名な米国バイバックファンドの価格の推移ですが、S&P500の
動きと同様に調整をこなしながらも堅調な推移を維持しています。
とくにここ数か月は、上昇トレンドにシフトしています。
なぜバイバック指数が好調なのか?
理由はやはりFRBの金融政策によるところが大きいようです。
FRBのパウエル議長は利下げを示唆しました。
これによって2019年の自社株買い残高は2018年とくらべて
1兆ドルをこえてきています。
7月中旬までを比べると、2019年7月中旬までは、前年同期比
でバイバック(自社株買い)残高は26%増加しています。
今年のS&P500のバイバック残高は昨年に比べて結局のところ13%上昇する
とゴールマンサックスは試算しています。
この自社株買い(バイバック)が好調な背景に、やはりFRBの金融政策
にあると思います。投資家にとってみれば、企業が自社株買いをすることでの
実質配当金利回り、そして株価が好調になることによって、実益を得ると
信じているのです。
一方企業のほうは、レバレッジを増やして、企業収益が減っているにも
関わらず、バイバック資金を集めようとしているようです。
↑のグラフからわかるように企業のキャッシュポジションの変化は
大きく減少している一方で、借入のほうは増えています。
これは企業がレバレッジを増やしていることを意味します。
バンクオブアメリカの試算によると、48%の企業が過剰に
ファイナンスに頼ったバイバックを行っていることを示唆しています。
GDPが減速に関わらずバイバックが上昇している理由
企業の収益はGDPデータからわかるように、ここ数年減速傾向に
あります。しかし、上記に述べたように、企業はレバレッジを増やし
でものバイバックを進めています。
それができる理由はなにか?それは、投資家が、FEDが利下げ政策
に転じているために、積極的に企業の株式投資をすすめている
ことです。
ここ最近、バイバック指数が好調な背景の主な理由はFEDの
パウエル議長が利下げ転換を示唆したことが大きいと思われます。
まとめ
言葉を変えれば、FEDは政策転換によってS&P500の株価と
バイバック指数を押し上げているだけでなく、企業の不適当な
資本の割り当てを明確に推し進めようとしているということです。
それは、もしレセッションに襲われたときには、その企業はデフォルト
に陥る可能性が高い状況のなかにおいても、投資家に企業の株購入
を推し進めようとしている政策なのです。
そのことを意識しながら、今後の株価の動きと同時にファンダメンタルズ
(GDP)の動きに注意を払うころが重要であると思われます。