米国のBuy-back(自社株買い)が2020年大統領選の重要論点になる理由は!
米国自社株買いが2020年に向けて政治的重要議題と
なりそうな様相です。
この自社株買いの課税については、共和党のルビオ上院議員が
議案として提出することをほのめかしています。
また民主党の間でも、自社株買いをする企業に、従業員全員
の最低時給を増やすことを法案化する案も飛び出して
います。
そこで、今回は米国をとりまく自社株買いについての背景
について調べてみました。
与野党のbuyback(自社株買い)規制法案とは
自社株買いがにわかに、与野党両陣営にとって
政治的大きな議題となりつつあります。この議題は
通常であれば、企業の最高財務会議のなかで議題となる
ものですが、今では2020年の大統領選の中止的な議題に
なりそうな雰囲気です。
民主党チャック・シューマー上院議員とバニー・サンダース議員は、
自社株買いを始める前に、その企業が全従業員に少なくとも
時給15ドルを払うように要求する法案をとりまとめよう
としています。
一方で共和党マルコ・ルビオ上院議員は、自社株買いに対して、
配当金として課税する法案を検討しています。
実際にこれがとりわけ投資信託やETFの世界でどのようにして
可能になるのか不明ではあります。実際のところ
自社株買いに課税する案は、1952年に生まれが、その時は
もっと単純化した世界であったにもかかわらず、
それでも現金分配を受けない株主に対して所得税を課す方法を
見出すことはできませんでした。
Buyback(自社株買い)が盛んな背景
自社株買いは米国の企業の間では頻繁に行われています。
そしてその規模は昨年、1兆ドルに及んでいます。
アップルの株数残高は2012年以来、66億ドルから47億ドルに
減少しています。これは、自社株買いに支出された額だけでなく、
買い戻された発行済み株式の割合においても驚くべき
数字であります。
またタコベル、KFC、ピザハットを所有するヤムブランズ
のような会社でも、長期にわたって発行株式数を減らして
いこうとしています。
一方で多くの企業では、報酬目的および買収目的で新株を
発行し続けています。そしてそうした企業は、時間の経過と
ともに発行株数は増加する傾向にあります。
まとめ
ルビオ議員らが提案している、自社株買い取引になんらか
の課税をもとめる考え方は正しいと思われます。
なぜならば‘自社株買いによって、経済的には配当と
同等の効果をもたらしているからです。
税制度において、この取引による恩恵をなんらかの形で課す
ことは、公平感からも、配当と同等に扱われるべきであると
の主張は意味をなしていると思われます。
さらに言えば、自社株買いは配当と異なり、連邦法に
準拠しているため、議案を立法化することが容易のようです。
ルビオ上院議員は、2週間後にこの議案を提出することを
示唆していますが、実務的には、多くの課題があります。
実際にその企業の株主が配当として受け取っていない利益を
どのようにして課税するのか?これには実務的にもかなり
の難題があるようにみえます。一方で民主党の考え方は
企業に別の形で従業員に還元する形の法案を持ち込もうと
していますが、これも法律として正しいのかどうか議論余地
がありそうです。
そう考えると、自社株買いを完全に禁止するほうが、
シューマー議員、サンダース議員、そしてルビオ議員らが
始めようとしている、屈折した提案よりも、より簡単なように
見えます。