米国のイールドカーブブルフラット化が続いている理由と今後のドル円見通しは?
今年に入ってから米国債のイールドカーブフラット二ングが続いています。
米国のインフレ率と経済成長率の回復を当てにしている投資家にとって
予想とはちがった動きとなっています。
トランプリフレをあてにしていた投資家
米国の景気やインフレの見通しに大きく左右される長期債利回りは、
昨年11月の米大統領選でトランプ氏が当選してから急上昇
してきましたが、今年にはいって調整局面にはいっています。
今年はこれと並行して、金融政策の影響を受けやすい短期債利回りが
上昇しています。FRBが年内の利上げ継続の見通しを示しているからです。
市場関連のどの指標にも言えることだが、イールドカーブは投資家心理や
経済統計、さらに政治動向に左右されます。イールドカーブフラット二ングは、
景気減速だけでなく高リスク資産の過熱感を示す初期兆候の場合もあるため
警戒感も徐々にでてきています。
米国のイールドカーブフラット化の理由は
1-3月期の経済統計は強弱まちまちですが、イールドカーブフラット二ングは
「トランプ・トレード」の巻き戻しによるものと考える投資家は多いです。
こうした取引を手掛けていた投資家は、トランプ氏が公約に掲げる減税と
財政出動が実現すればインフレ率と経済成長率は一気に上向くとの見方に
基づき持ち高を形成してきましたがトランプ政権がオバマケア代替法案の
撤回を余儀なくされたことで、いわゆるリフレ政策への期待は後退して
います。
そうした不透明感が指標に表れている。ジャンク格(投資不適格)社債の
リスクプレミアムは3月30日に平均381bpとなって
います。3月2日の344bpから急拡大しており、投資家がジャンク債への
投資リスクは高まったとみているようです。
リスクオフへと徐々に移行?
投資適格社債でさえ、軟調な兆しが見られており。米国債との利回り差は
徐々に拡大しており、足元で117bpと3月6日の水準を6bp上回っています。
債券市場の投資家は総じて、財政政策案の一部についてはうまく妥協点を
見いだせると楽観的でしたが、今では怪しくなってきています。
一方で共和党指導部が党内で優先度の高い政策を推進する考えを示しているため、
減税の実現に懐疑的な投資家でさえ、まだ減税とインフラ拡大による
刺激策を想定すべきという意見もあります。
1-3月期は起債がほぼ連日続きました。投資適格企業と
ジャンク格企業による同期の起債額は計4900億ドル超と、四半期ベースで過去最高
となりました。これは投資家の社債に対する需要の底堅さを示すものだが、3月末に
かけてリスクプレミアムが上昇した一因でもあります。
今後のドル円見通しは
トランプ大統領の政策実行にスピード感がなくなったことは
ほぼ市場も織り込んだと思われます。
一方でFRBの利上げスタンスはしっかりと維持されており、
またそれに伴う米国経済の堅調さも維持されていることから
ここからのドル円は上昇余地があると思っています。
今週末の雇用統計でしっかりとした堅調さが維持されて
いれば、ドル円は底堅く推移すると予想しています。