現状のNYFed予想インフレ率の推移が意味していることは!?
中央銀行、終身雇用のエコノミスト、そして金融メディアは、現在の
ハイパーインフレは一過性のものに過ぎないとアメリカ国民に信じ込ませる
ためにあらゆる宣伝活動を行っています。
FRBも半年に一度の金融政策報告書の中で、インフレは「より持続的だが、まだ一時的な
ものである可能性が高い」と書いており、現場の衝撃的な現実は、
NY連銀の最新の消費者期待調査が明らかにしているように、FRBが短期的な
インフレ期待を事実上コントロールできなくなっています。
この注目すべき調査の7月分によると、消費者の1年先のインフレ期待は、
6月の4.80%から上昇して4.84%となり、このシリーズの過去最高を記録して
います。
1年後の予想インフレ率の詳細は
1年後の予想インフレ率の中央値は4.8%と「控えめ」でしたが、
25%/75%の分散範囲の上限値は8.5と驚異的な数値を示しています。
これだけ振れ値が激しいことがわかります。
インフレ期待値の内訳を商品別にみると、大学教育費の1年先の予想変化率の中央値は
6月の7.0%から7.5%に上昇し、2018年1月以来の高い数値となりました。一方、ガソリン価格の
予想変化率の中央値は、6月の9.1%から8.1%に減少しました。医療費と家賃の
予想変化率の中央値は9.4%と9.7%で変わらず、他では医療費は9.36%、
家賃は9.66%の上昇が予想されています。不思議なことに、過去10年間の大半が
2.3%台だった金の価格は4.9%上昇すると予想されています。
FRBが発表した3年後のインフレ期待値の中央値が1年後の水準を下回ったままで
あることから、米国がワイマールのようにならないとの期待もありましたが、
期待値の中央値が3.5%から3.7%に上昇し、2013年8月以来の高値を記録する
など、事態は上向きに加速しています。
ニューヨーク連銀の説明によると、「回答者間の不一致を示す指標
(インフレ期待値の75%と25%の差)は、1年後ではわずかに減少したが、
3年後では75%が大きく増加したために増加した。短期および中期のインフレ率の
不一致の指標は、いずれもCOVID-19以前の水準に比べて上昇したまま
となっています。
予想インフレ値が意味するところは
これは何を意味するのかといえば、3年後のインフレ予想の中央値は
1年後の予想を下回っているものの、回答者の約25%は3年後のインフレ率が
過去最高の8.0%にまで急上昇すると予想しており、これは一過性ではない
ハイパーインフレに匹敵する数値だということです。
最後に、多くの人が「住宅バブルではない」と主張していますが、住宅価格は
1年後に8.2%、3年後には5.1%と大きく上昇するという予想が中央値で
示されています。
まとめ
予想インフレ率といわゆるBEIとは違いがありますが
今回は、実際に消費者が予想するインフレ率の推移
を示したものです。予想にばらつきがあるのものの
25%の人が8%のハイパーインフレを予想をしている
というのは、いささか驚きです。
先週の雇用統計でも強い内容が示されましたが
Fedが言うように、これが一過性のものなのか
どうか、また中央銀行がコントロールできるのか
瀬戸際にあるようです。
モハメド・エラリアンが指摘する「インフレが一過性でない」予想の背景は