現在のユーロ圏の最大の懸念関心事はすべてを超えて難民問題
欧州では、朝から晩までとりあげているニュースが何十万人の規模で押し寄せてくる
シリアからの難民問題です。
ハンガリーではとうとう暴動問題にまで発展してしまいました。
この問題の深刻さと複雑を象徴しているのが、ことの根源となっているシリア問題です。
そこでこの問題について調べてみました。
シリアの主な宗教は3つに分かれています。
スンニ派74% アラウィ派16% 東方正教会10%
という分かれですが、ごらんのとおりスンニ派が大多数を占めています。
ところが、二代にわたって独裁政権を築いているアサド政権はアラウィ―派を尊重した
偏重政策をとり、この政権の残虐さとともに、内戦を繰り返してきました。
英国に本拠を置いて戦争犠牲者を追跡している「シリア人権監視団」のラミ・アブドルラーマン代表
によれば、2011年にシリア蜂起が始まって以降の市民の死者数で、アサド政権にその責任があるのは、
少なくとも70%に達しています。第2位は比較的穏健な反政府勢力、ISは第3位です。
バーレーンに本拠を置く国際戦略問題研究所のエミール・ホカイエム氏は「現在の人道的な悲劇は、
シリアの戦闘の残念な結果ではなく、それはアサドの生き残り戦略の論理的な結末だ」
と述べています。同氏は「それは偶然ではない。仕組まれたものだ。アサド(大統領)は
彼に忠誠を誓わない人々を処罰して追い散らし、その負担を国際社会にかぶせようとしている」
と語っています。
アサド大統領は16日放映されたロシアのメディアとのインタビューで、欧州への難民流出の責任は、
シリア反体制派勢力を支持している西側諸国にあると非難しています。同大統領は
「西側は、今回の危機を平和的な蜂起だと当初述べていたし、それ以降、テロリストたち
を支援してきた」と述べています。
シリア内戦の初期、多くのシリア人が国境を越えたのは、戦争が終わるまで待とうと
期待したためでしたが、今や、カネと技術を持った人々が西側での新生活を決意し、
死も覚悟して越境して欧州に流入しているが、それはアサド政権とその殺戮(りく)行為が
無制限に続くかもしれない、と彼らが結論したからです。
オバマ政権でシリア問題の特使を務めたことのあるフレデリック・ホフ氏(
現在はワシントンにあるシンクタンクの大西洋協議会の上級フェロー)は 「これらの人々は、
シリアが万事休すと判断したのだ」と述べています。同氏は「これは自国民に対するアサドの
残虐行為の結末だ。アサドは空白をつくり、そこにISが入り込むことができました。そして西側は、
これに対して全く有意義な方法で対応していない」と語っています。
アサド政権の空軍は、シリア上空を毎日飛行する米軍戦闘機にかく乱されていませんが
めったにISを攻撃していません。米軍のIS攻撃作戦のおかげで、アサド政権軍は比較的穏健
な反政府勢力が支配しているシリア北部と南部の各地に兵力を集中できるようになっています。
アサド政権軍はまた、バレル爆弾(火薬やガソリン、クギなどの金属片を詰めた爆弾)を
大量に投下することによって、こうした地域で代替となるガバナンス(統治)ないし経済活動が
根付くのを不可能にし、住民の逃亡を余儀なくしています。
要するに、西側がシリア内のイスラム国への攻撃を強めても、アサド政権の反政府的地域への
暴力により統治が強まり、その人たちが絶望となり命がけで脱出する負のスパイラルが
続いているのです。
22日にEUでこの難民問題についての会合が開かれますが、この問題の根源を考えると
容易に解決できる問題ではなく、経済的また居住地などの物理的な対応にしても、解決に
程遠い問題をかかえています。
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