株価はどこまで米国債10年利回りの上昇に耐えられるのか?
米国債10年利回りが急騰したことで、株式市場は急落、
世界同時株安の様相を呈しました。
ところが、インフレ懸念で金利が上昇しているにも
かかわらず、10年と30年のイールドカーブは平坦化
しています。
今回はその背景と理由について解説します。
なぜ米国債イールドカーブが平坦化?
我10年30年のスプレッドは、かなり長時間に渡って
安定し、相場の変動は10年債の動きに反映するであろう
とという見方が市場を占有しています。
なぜならば、このポイントは、様々な世界的な
金融情勢に合致しますが、多くは、30年債券の利回りは、
長期の名ばかりの成長トレンドに対して無頓着です。
よって10年30年のスプレッドは、長期の平均である
約50bpsで落ち着くのが一般的です。
今日のように、そのスプレッドが50bps以下になっている場合は、
10年債の売りが、長期の買い持ち型の投資家、
そしてインフレ期待が上昇していることに反応しない投資家以外の
ソースから入っている可能性が高いということです。
そのことからわかることは、少数の投機筋が
10年債の売っており、おそらくその投機筋は
海外のファーストマネーや、集積したレバレッジ付きの
株式ポジション保有するヘッジファンドです。
彼らの動きによって10年債の売りが、株式市場売りの
前兆となっているのです。
大手株式モメンタムファンドは、明らかに、株式が
上昇するにつれて、株式ポジションを増やしていました。
そして、株式が下落したときにはだれも待ち受けて拾う
ひとがいなかったのが現実でした。
株式市場はどこまで米国債10年利回りの上昇を耐えられるか?
もし3%の10年債利回りが、明日、あるいは来週になれば、
株式の上昇を抑え、さらに5%あるいはそれ以上下落すること
が考えられます。しかしその3%が
12月まであるいは、すぐに訪れないのであれば、
それはまったくちがった展開になるとおもわれます。
その金利の上昇ペースが重要となります。なぜならば、
新規キャッシュや増幅しているアセットマネジメントは、
その動きが十分にゆっくりである限りは、
高いイールドの米国債と高い株価を吸収することが
可能だからです。一般的に10年債利回りは、四半期で、
株式や何であれ他のインパクトがない限りは、10bps上昇する
ことは可能だと言われています。そして四半期で15bps
上昇することは、おそらく、その他の上昇傾向の株式に対して
は少しの影響しか及ばないと考えます。四半期で
20bps上昇する場合はその影響が強くなり、四半期で30bps上昇する
場合は株式市場のポジティブなモメンタムからネガティヴな
モメンタムに転換するであろうと見られています。
株式市場の本格的な売りが最終的に始まるのは、四半期で
10年債利回りが約40bps上昇した時であると考えます。