
日本の経常収支が黒字でもドル円が円高にならない理由は!?
現状のドル円は、堅調なドル高円安トレンドの真っ只中に
あります。
ただ、ファンダメンタルズをみてみると、経常収支は黒字の状況
が続いていますが、なぜ円高に展開しないのか調べてみました。
日本は経常黒字国
現在の日本は「経常収支黒字国」であることに変わりはありませんが、
昔のような強い円高圧力を生む構造ではなくなっています。
むしろ需給面では、以前より円安バイアスが強くなったと考えられます。
昔(2000年代頃まで)の円高構造
当時の日本は、
- 自動車
- 電機
- 機械
などの輸出大国でした。
例えば、
海外企業が日本企業から商品を購入
↓
ドルで代金支払い
↓
日本企業がドルを円に交換
↓
円買い需要発生
という流れです。
つまり、
貿易黒字 = 継続的な実需の円買い
でした。
このため市場参加者も
「日本は経常黒字国だから円高」
という認識を持っていました。
現在の経常収支黒字の中身
現在の経常収支黒字の主役は貿易ではありません。
大きいのは
第一次所得収支
です。
これは、
- 海外子会社からの配当
- 海外債券の利息
- 海外株式の配当
- 直接投資収益
などです。
日本は世界有数の対外純資産国ですので、
海外に保有する資産から莫大な収益を受け取っています。
現在の経常黒字の大半はこれです。
ここが昔と大きく違う
貿易黒字の場合
海外
↓
ドル受領
↓
円転
↓
円買い
が起きます。
一方、
海外投資収益の場合
海外子会社から配当受領
↓
現地で再投資
となるケースが非常に多いです。
つまり
利益は計上されるが、円に戻ってこない
のです。
経常収支黒字なのに円高にならない理由
市場ではよく
「日本は30兆円超の経常黒字なのに、なぜ円安なのか」
という議論があります。
答えは比較的シンプルです。
経常収支統計上は黒字でも、
実際の資金フローとしては
- 海外再投資
- 海外M&A
- 海外証券投資
に回る部分が大きいからです。
つまり、
会計上の黒字
≠
実際の円買い
です。
需給面で見るとどうか
近年はむしろ
円売り要因
が増えています。
例えば
- NISAを通じた海外株投資
- 年金基金の海外投資
- 生保の外債投資
- 企業の海外M&A
です。
これらはすべて
円売り
↓
外貨買い
になります。
貿易収支赤字の意味
さらに現在は
- エネルギー輸入
- LNG
- 原油
- 食料輸入
の依存度が高いです。
円安になると
輸入代金支払いのため
円売り
↓
ドル買い
が増えます。
昔のような
「輸出企業が円を買う国」
から、
現在は
「輸入企業がドルを買う国」
の側面が強くなっています。
ただし経常黒字が無意味になったわけではない
ここは重要です。
日本は依然として世界最大級の
日本
の対外純資産国です。
これは長期的には円の信用力を支えています。
もし日本が経常赤字国に転落すると、
状況はかなり変わります。
したがって、
経常黒字は
「昔のような直接的な円買い要因」
ではなく、
「日本の信用力を支える基盤」
という意味合いが強くなっています。
実務的な見方
現在のドル円を考える際、多くの為替ディーラーは
- 日米金利差
- 米国実質金利
- 投資資金フロー
- リスク選好
を重視し、
貿易収支は昔ほど重視していません。
これは、
経常黒字の中身が
「モノの輸出」
から
「海外資産の運用収益」
へ大きく変化したためです。
まとめ
昔の経常黒字は「円買いを伴う黒字」でしたが、現在の経常黒字は
「必ずしも円買いを伴わない黒字」です。
そのため、需給面では以前より円安バイアスが強くなっている、という状況なのです。
